国内公募の追加型株式投資信託(ETF、ラップ・SMA専用を除く)を対象に7月1~20日までの資金流入額(推計値)をランキングしたところ、資金流出額の上位に「ひふみプラス」(9C311125)と「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド<愛称:THE 5G>」(6431117C)が並んだ。資金流入額は20日に新規設定された「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」(47311207)が断トツだった。
■流出額首位は「ひふみプラス」
資金流出額が最も大きかったのはレオス・キャピタルワークスの運用する「ひふみプラス」の191億円。国内株式を中心に投資するファンドで、20日時点の純資産総額(残高)は5000億円超と「国内株式型」(QUICK独自の分類)で最大を誇る。5~6月の2カ月連続で資金流出が続いており、6月も流出額トップの357億円だった。同日時点の年初来リターンは2.9%のプラス。
2位は三井住友トラスト・アセットマネジメントの「THE 5G」。世界の株式のうち、次世代通信規格「5G」関連企業に投資する。国内公募の追加型株式投信(ETF除く)で3番目に残高が大きい。6月も流出額が2番目に多かったが、5月まで資金流入傾向だったため、7月20日時点の年初来資金流入額(推計値)は650億円を超える。年初来リターンは9.1%のプラスだった。アジア地域の5G関連株で運用する「次世代通信関連 アジア株式戦略ファンド<愛称:THE ASIA 5G>」(64311202)への資金流入額は増えている。
■年初来リターンは7本がプラス
そのほかの流出額上位には、モビリティやロボット関連などのテーマ型が目立った。運用自体は堅調なファンドが多く、上位10本のうち7本は年初来リターン(20日時点、分配金再投資ベース)がプラスだった。8位の「グローバル全生物ゲノム株式ファンド(1年決算型)」(02312191)の年初来リターンはプラス38.4%で10本中最大。これらのテーマ型はコロナ禍からの回復局面で成績を伸ばしたものが多く、利益確定による解約の影響が大きかったようだ。
■「未来の世界(ESG)」、当初設定額で歴代2位に
資金流入額が最も大きかったのは、アセットマネジメントOneが20日に設定した「未来の世界(ESG)」。設定時点で3830億円を集めた。当初設定額としては今年最大かつ歴代2位の大きさ。同ファンドは世界の株式のうち、競争優位性や成長力に加え、ESG(環境、社会、企業統治)への取り組みなども評価に含めて投資先企業を選定する。
2位は三井住友DSアセットマネジメントの「テトラ・エクイティ」(7931119B)。S&P500種株価指数先物の買い建てと売り建てを、市場動向に応じて使い分けながら収益獲得を目指す。19年11月に設定され、残高は21日に500億円を超えた。20日時点の年初来リターンは49.8%のプラスと好調だった。
3位は「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」(39312149)。高い成長が期待できる米国企業の株式に投資する。基準価額に応じて毎月支払う分配金をあらかじめ決めている予想分配金提示型で、7月に入って残高が5000億円の大台に乗った。年初来リターン(分配金再投資ベース)は13.9%のプラス。
■今年設定されたファンドに資金流入
上位10本のうち4本が今年に入って新規設定したファンドだった。4位の「ダイワSociety 5.0関連株ファンド(資産成長型)<愛称:スマートテクノロジー(資産成長型)>」(04313207)は7月20日に大和アセットマネジメントが運用を始めた。2月設定の「GSフューチャー・テクノロジー・リーダーズ<愛称:nextWIN>」は、為替ヘッジなしのBコース(35312202)が6位、限定為替ヘッジ付きのAコース(35311202)が10位にランクインした。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)