11月の米大統領選まで100日を切った。新型コロナウイルスの状況が報道を席捲しているが、金融市場にとっては大統領選も重要なイベントに変わりはない。不透明な中で現時点で想定できるシナリオがストラテジストなどが公表している。HSBCは7月27日付のリポートで11月の米大統領選と米国株の見通しについて、下記の通りの見方を示した。
<以下、要旨抜粋>
アメリカの大統領選まであと3カ月と迫る中、税制改革、財政支出、規制、米中間の緊張を中心に、多くの重要な政策変更が注目されている。ここ数カ月の世論調査や予測市場では、民主党候補のジョー・バイデン民主党候補への支持が高まり、トランプ大統領への支持が薄れていることが示されている。また、民主党がホワイトハウスと下院の両院の両方を確保する可能性があるとの予測もある
我々の見解では、米国株は現状を支持し、重大な政策変更のリスクを最小化し、不確実性の水準を低下させる結果に対して最も肯定的に反応するだろう。これは下院と上院の政党支配が分裂している場合に起こりうることだ。
もし新政権がここ数年米国を支えてきた主要な柱を削る法案を提出するとの思惑が強まれば、ボラティリティがさらに高まる可能性がある。我々の試算によると、バイデン氏が提案する法人税(法定税率を21%→28%への引き上げ含む)は、米国の収益の10%低下する可能性がある。また、ハイテク産業に対する規制強化は、市場全体のパフォーマンスに貢献してきたハイテク産業を弱体化させる可能性がある。
もちろん、多くの点で流動的だ。経済の低迷は法人税増税のタイミングに影響を与える可能性がある。また、比較的緩和された規制と大手企業による市場支配力が強まっているという現状は、選挙の結果にかかわらず今後も継続する可能性がある。とはいえ、リスクは明らかに高まっている。投資家は米国株が世界の他の国々の株価と比べてアウトパフォームしていたこれまでの時代に終止符が打たれると感じているかもしれない。
(QUICK Market Eyes 大野弘貴)