半導体製造装置大手、東京エレクトロン(8035)が7月28日にオンラインで開催した2020年4~6月期決算の説明会をテキストマイニングして分析したところ、「DRAM(データの一時記憶用メモリー)」「中国」「ファウンドリー(半導体の受託生産)」などへの言及が目立った。新型コロナウイルスの感染拡大により自動車など製造業の多くが経営難に直面しているが、インターネットやデータ社会を支える半導体企業の投資意欲はなお底堅いようだ。
4~6月期の連結決算は純利益が前年同期比で77%増の564億円と、この期間として最高の水準になった。次世代通信規格「5G」向けやデータセンター需要の増加で、取引先の半導体メーカーは設備投資を増やしている。なかでもDRAMや3次元NAND型フラッシュメモリー(3D-NAND)など、メモリーの比率が高くなった。
巨額が必要なメモリー投資は大手メーカーが先送りするとの観測も出ており、証券アナリストやマスコミの質問をみると、メモリー投資の先行きに強い関心があるようだ。
東エレクの河合利樹社長兼最高経営責任者(CEO)は、「DRAM向けについては、投資の一巡が見込まれるが、3D-NANDはさらなる技術革新により昨年比50%の成長を見込んでいる」との認識を示した。さらに「ロジック(論理計算用半導体)やファウンドリーの成長がカバーする」とも強調した。
大型の半導体投資を加速させている中国の質問も相次いだ。河合CEOは「年後半にかけて中国のファウンドリーも投資額の積み増しを公表しており、成長を期待している」と成長余地があるとみていた。IoT(モノのインターネット化)、AI(人工知能)、5G などの普及に伴って半導体需要が伸びていく大きな流れについては、変わりはないとの考えを明らかにした。(QUICK Market Eyes 阿部哲太郎)