アンリツ(6754)が30日発表した2020年4~6月期の連結決算(国際会計基準)で、純利益は前年同期のおよそ倍の35億円だった。発表を受け、同日夕のSBIジャパンネクスト証券の私設取引システム(PTS)で一時、同日の東証終値より7.7%上げる場面もあった。新型コロナウイルスの感染拡大下でも同社が得意とする次世代通信規格「5G」向け設備の需要が旺盛なことが裏付けられた。今後の業績と株価はどうなるか。市場関係者に聞いた。
■利益の伸びを確認 年初来高値試す
小川佳紀・岡三証券日本株式戦略グループ長
4~6月期の純利益が市場予想の平均であるQUICKコンセンサス(6月1日時点、3社)の26億円を上回った。決算への警戒から足元で株価は調整していたが、利益の伸びが確認できたことを市場は好感し、今後は6月29日に付けた年初来高値(2656円)を試す展開になるとみる。
21年3月期の連結業績予想は据え置いた。今後の利益につながる受注高は290億円と1~3月期(251億円)から増やしている。新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、計画通りに純利益で前期比1%増の135億円を確保できるかどうかには懐疑的な見方も市場で聞かれるが、受注が増えていることでそういった懸念も払拭され、株価にとって前向きな決算内容だ。
※アンリツの純利益の推移(21年3月期は会社予想)
■気がかりは為替レート
窪田朋一郎・松井証券シニアマーケットアナリスト
4~6月期は特に利益面が良好だった。営業利益の21年3月期通期計画に対する進捗率は3割に達している。ただ営業利益が175億円とする通期の従来予想は変えておらず、市場予想(183億円、QUICKコンセンサス、6月1日時点、12社)と比べると物足りなさはある。だが全体的には決して悪い内容とは言えない。
アジアを中心に海外はまずまず堅調だったと言える。一方、会社側の資料によると、5G向けの投資が半年間程度滞っているという。ただ5G関連の需要は多少遅れようとも発生することには変わりない。悲観的に見なくても良いだろう。
株価には追い風の決算だ。株価は足元調整が続いていた。このところ、他銘柄で決算をきっかけに売られる展開が続いており、警戒感が広がっていたためだ。ただ今回は決算を機に上向いていくのではないか。気がかりなのは想定為替レートだ。21年3月期は1ドル=105円としている。すでに同水準まで円高・ドル安が進んでおり、為替面でのバッファーがない。業績への影響などを懸念し、株価の回復が持続しない可能性もある。〔日経QUICKニュース(NQN) 矢内純一、秋山文人〕