投機筋が上昇モメンタムの強い一部の先物から「撤収」するかのような動きを見せ始めた。7月31日に米商品先物取引委員会(CFTC)が公表した28日時点の建玉報告を見ると金先物と銀先物の買い建玉を減らしたことが判明した。一方で通貨では全体的にドル売りポジションへの傾きが見て取れる。
■金と銀先物のロングを一部解消
足元で金先物と銀先物の相場上昇が加速している。ただ、直近の投機筋の建玉動向では、金と銀ともに買い建玉を削減させている。売り建玉を大きく増やしている様子がないだけに、利益確定やポジションの整理に乗り出したのかもしれない。
一方で銅先物ではロングポジションの積み上げを継続している。金と銀とは対照的にこちらは相場上昇の一服感が鮮明になっている。
■ドル売りポジション、過去1年で最大
QUICKがまとめた主要通貨に対する投機筋の建玉では着実にドル売りポジションが膨らんでいる。直近公表分は過去1年間で最大規模のドル売りに傾いている。米長期金利の低位安定がドル下落の圧力として働いているようだ。
■VIX売りは一巡か
投機筋が売りを積み上げてきたVIX指数先物では建玉が減少した。売りポジションの増加に一服感が出た。一方でE-MINI S&P500指数先物、原油先物のポジションに大きな変化は見られなかった。
<金融用語>
シカゴIMM投機筋ポジションとは(CFTCとは)
CME(シカゴマーカンタイル取引所)の一部門であるIMM(International Monetary Market)で取引される通貨先物に関する投機筋の買い建て玉、売り建て玉の枚数の変化数値。米国ではCFTC(Commodity Futures Trading Commission=全米先物取引委員会)の元、各先物商品の未決済ポジション・データの公表が義務付けられており、その一環として公表されている。毎週火曜日の取引終了後に各取引所はデータをCFTCに提出、集計したデータを金曜日の取引終了後(日本時間土曜日の午前5時30分頃)にCFTCはホームページ上で公表している。ヘッジファンドなど投機筋のポジションの変化をとらえることで相場の方向性を知る手段として市場で注目されている。