米IT(情報技術)大手4社「GAFA」が米東部時間7月30日夕にそろって発表した2020年4~6月期決算は、新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中で各社がそれぞれの強みを支えにそろって市場予想を上回る収益を叩き出した。時間外取引ではフェイスブック(FB)が通常取引の終値を6.5%上回ったのを筆頭に、4社ともに上昇して終えた。QUICK FactSet Workstationのまとめた決算説明会の内容をテキストマイニングし、分析したところITの「巨人」たちを支える要因が鮮明になった。
▶フェイスブック「小企業が成長をけん引」
広告事業が前年同期比10%増と好調だったフェイスブックの成長をけん引するのが小規模の企業(small businesses)だ。デーブ・ウェーナー最高財務責任者(CFO)は説明会で同社の売上高に占める上位100社の比率はわずか16%と前年同期から低下したと指摘。「成長の源泉は広告プラットフォームを通じて顧客とつながる世界の中小企業だ」と強調し、広告出稿社の「多様性」が進んでいるとの認識を示した。
※フェイスブックの決算説明会をテキストマイニング
説明会ではこれまで成長をけん引してきた画像共有アプリ「インスタグラム」への言及は目立たず、祖業のSNS(交流サイト)「フェイスブック」への質問、回答が多かった。インスタグラムを含むフェイスブック全体の広告平均単価は掲載頻度が21%減った一方、広告掲載頻度が40%の大幅増となり単価下落を補った。スマートフォン(スマホ)などモバイル端末向けのフェイスブックのニュースフィードの仕様変更が奏功した。
▶アップル、サービス事業への言及が製品事業並みに
時間外取引でフェイスブックに次いで6.4%高となったアップル(AAPL)の説明会では収益構造の変化に伴い、「製品(product)」と「サービス(service)」への言及が同程度となったのが目立った。廉価版「SE」がけん引し主力のiPhoneが市場予想に反して増収となったのも市場を驚かせたが、サービス事業の売上高が15%増えiPhoneの2分の1近くに迫った。ティム・クック最高経営責任者(CEO)はサービス事業の売上高を2倍にするとした16年9月期の目標を「6カ月前倒しで達成した」と胸を張った。
※アップルの決算説明会をテキストマイニング
▶アマゾン、「プライム」会員が支える巣ごもり消費で最高益に
時間外取引で4.9%上昇したアマゾン・ドット・コム(AMZN)はコロナ禍で世界的に広がった「巣ごもり消費」の恩恵を受けて純利益が倍増、四半期ベースで過去最高になった。全体の伸び(40%)を上回り5割近く伸びたネット通販のけん引役は有料のプライム会員だ。4~6月期を通じてプライム会員の閲覧時間が伸びたうえ、「プライム会員はより大きい製品を頻繁に購入する」(ブライアン・オルサブスキーCFO)のが市場予想以上の大幅増収をけん引した。
※アマゾンの決算説明会をテキストマイニング
▶アルファベット、広告収入は減速もクラウド事業が補う
時間外取引で0.8%高と伸び悩んだアルファベット(GOOGL、GOOG)は、傘下のグーグルで広告収入が減少したものの、クラウド事業が43%増と市場予想以上に伸びた。説明会では広告媒体であるグーグルやYouTubeと並んで、製品(product)への言及が目立った。この説明会での製品はスマホなどではなく、アプリケーションなどネット上のものを指す。スンダー・ピチャイCEOは「コロナに関する情報提供を70言語、200カ国超で提供した」と強調した。
※アルファベットの決算説明会をテキストマイニング
(QUICK Market Eyes=滝口朋史)