日立製作所が7月30日に開いた2020年4~6月期決算のオンライン説明会の内容をテキストマイニングしたところ、「デジタル化」「Lumada(ルマーダ、人工知能によるデータ分析やシステムなどの基盤を提供する事業)」「パワーグリッド(送配電網)」などへの言及が目立った。グループの素材や建設機械といった事業は世界的な景気減速のあおりを受け苦戦している。日立が成長の基軸に据えるデジタル化や、海外のライバル企業から買収した送配電事業に関心が集まっているようだ。
20年4~6月期の連結営業利益(国際会計基準)は前年同期比53%減の583億円だった。新型コロナウイルス感染拡大の影響で上場子会社の日立建機や日立金属が苦戦し、大幅な減益となった。一方でデジタル化の進展により、IT(情報技術)セクターやLumada事業は堅調に推移している。
アナリストやマスコミからは、スイスの重電大手ABBから買収した送配電事業を手掛ける子会社、日立ABBパワーグリッドへの関心が集まった。グリーン・ニューディール(米国のオバマ政権が打ち出した環境・エネルギーへの投資推進の政策)などにより、今後パワーグリッド事業に大きなチャンスがあるのではとの質問があった。パワーグリッド社のクラウディオ・ファキン最高経営責任者(CEO)は、「米国だけでなく欧州でも明確な動きがみられ、洋上風力発電や電力送配電網の整備といった大きなビジネスチャンスがある」と述べた。(QUICK Market Eyes 阿部哲太郎)