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バリュー株の見直しに注目、本格復活は4~9月期決算発表シーズン?

決算発表をきっかけにポジション調整の動きが鮮明になりつつある。8月の「QUICK月次調査<株式>」では向こう6カ月の株価変動要因として「景気・企業業績」との回答が前月比で4ポイント上昇し、70%と3カ月ぶりの水準に上昇した。新型コロナウイルスの感染拡大で2020年度の企業収益の見通しの発表を先送りする動きが多かったため、4~6月期決算では一段と通期見通しの開示を含め関心が高まったようだ。

■不透明感薄れ、持ち高増やす

7月末時点のアナリストの業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDIは金融を除く全産業でマイナス65、と6月(マイナス71)から改善。非製造業はマイナス57と、6月(マイナス58)から小幅改善にとどまったが、製造業はマイナス70と、6月(マイナス80)から大きくマイナス幅が縮小した。8月中に決算発表する企業も多いため今後の動向を見極める必要はあるものの、不安定だった足場が定まってきた感はある。

実際、運用担当者が回答した当面の国内株式の投資スタンスは、「現状維持」が64%と、やや低下する一方で「やや引き上げる」が9ポイント上昇して28%、「やや引き下げる」が6%と、2ポイント低下した(図1)。

※図1:やや引き上げるとの回答が上昇

決算をきっかけに不透明感が薄れ、持ち高を増やす意欲は高まりつつあるもよう。とはいえ物色動向には変化が出そうなことは注意しておきたい。業種別の投資スタンスでは「オーバーウエート」から「アンダーウエート」を差し引くとプラスの首位は変わらず「電機・精密」だった(図2)。

※図2:電機・精密の強気もいったんピークアウト感が出つつある

ただ細かく見ると「オーバーウエート」との回答は7月から減少する一方で「アンダーウエート」は上昇し、差し引きでは前月から8ポイントプラス幅が縮小した。半導体製造装置などは決算を先回りして上昇していたため、発表を受けていったん利益確定の動きにつながりやすくなっている可能性がある。このほか、差し引きのプラス幅が拡大した業種は「通信」「素材」で、「消費」はプラス3から差し引きゼロに低下。新型コロナ特需も一巡感を予想する向きが多いようだ。

■金融緩和環境は維持

決算が一巡すると11月の米大統領選に向けて政治情勢が株式市場の動向を左右するとの見方が多い。前出の株価変動要因に関する質問では「政治・外交」との回答が6ポイント上昇し、18%まで上昇した。足元の支持率で上回っていることもあり、市場関係者の予想では民主党のバイデン前副大統領勝利を予想する向きは多いものの、「バイデン氏が勝利して株価が上昇」が39%となる一方、28%は「バイデン氏勝利で下落に転じる」と回答しており、株価への反応は見方が割れている印象だ。ただ、いずれの場合にも金融緩和環境は維持されるとの見方が根底にはあるようで、過度な悲観をうかがわせる印象はない。

■グロース株の優位に一服感

一段高をうかがう中で注目が高まるのは足元で進むバリュー銘柄の水準訂正の持続性だろう。「TOPIXバリュー指数」と「TOPIXグロース指数」の値動きをみると、7月末以降はこれまで続いたグロース株の優位に一服感が出ている(図3)。

※図3:足元グロース優位に一服感が出ている

TOPIX500銘柄の3月期決算企業(除く金融)のうちPBR(純資産倍率)が1倍を下回り、①今期最終損益が黒字予想(会社予想・連結優先)、②総資産に占めるネットキャッシュ(現預金および同等物と有利子負債の差し引き、2020年3月末時点)の比率が上位10社を指数化して比較すると、8月に入ってから約4ポイント日経平均株価をアウトパフォームしている(図4)。

※図4:バリューは資産の「質」を考慮すると一段高に

新型コロナウイルスの感染拡大で企業収益には短期的に下押し圧力がかかりやすい状況にあることに変わりはない。低PBR銘柄をただ買うのではなく、その資産の「質」を見極めることも重要だ。

■バリューの本格復活は4~9月期決算発表シーズンに

国内企業の20年4~6月期決算シーズンが終盤を迎える中、野村証券は13日付のリポートで「バリューの本格復活は4~9月期決算発表シーズンに」と指摘した。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて業績見通しを開示しない会社が多かったが、リポートでは「12日時点ではガイダンス非開示企業のうちの60%弱において通期業績見通しが示されたことが確認できる」とし、足元で見通し開示が進んでいる現状を指摘。その上で「ガイダンスを開示できていない銘柄群で進捗率が低いことがわかる。ガイダンス非開示銘柄において通期コンセンサス予想が十分に下方修正されていない可能性があるだろう」としながら、「これらのセクターは8月1週目終盤から始まったバリュー相場で買われている銘柄群とも一致する」と指摘した。

今後はしばらくガイダンスが公表されないリスクが高いことや、公表されたとしてもコンセンサス予想よりも弱い数字が発表される可能性がある点に留意としつつ、「年度後半のいずれかのタイミングでこれらの銘柄群の復活を予想するが、本格的なローテーションのトリガーは巷間言われているような金利上昇というより、業績に対する期待の変化になるものと考えている」と指摘。20年4~9月期決算発表シーズンの前後のタイミングで変化が訪れるのではないかとみていた。

以下は野村証券が選出した20年度会社予想が依然として非開示で、かつコンセンサス予想が高い銘柄群(TOPIX500ユニバース)。

コード 銘柄名
2371 カカクコム
2433 博報堂DY
2670 ABC マート
4042 東ソー
4063 信越化
4205 ゼオン
4403 日 油
4544 HUグループ
4661 OLC
4902 コニカミノルタ
5332 TOTO
5471 大特鋼
5631 日製鋼
5703 日軽金HD
5714 DOWA
5803 フジクラ
6103 オークマ
6146 ディスコ
6302 住友重
6395 タダノ
6506 安川電
6861 キーエンス
6869 シスメックス
7013 IHI
7269 スズキ
7733 オリンパス
7741 HOYA
8129 東邦HD
8136 サンリオ
8233 高島屋
8242 H2Oリテイル
8303 新生銀
8359 八十二
8593 三菱Uリース
9003 相鉄HD
9005 東 急
9008 京 王
9009 京 成
9020 JR東日本
9021 JR西日本
9022 JR東海
9031 西 鉄
9041 近鉄GHD
9042 阪急阪神
9044 南海電
9045 京阪HD
9048 名 鉄
9142 JR九州
9201 JAL
9202 ANA
9404 日テレHD
9501 東電力HD
9503 関西電
9506 東北電
9507 四国電
9601 松 竹
9706 空港ビル
9766 コナミ HD
9783 ベネッセHD
9984 ソフトバンクG
9987 スズケン

QUICK Market Eyes  弓ちあき、片平正二)

<金融用語>

バリューとは

「価値」という意味だが、一般には「割安」と訳され、使われている。


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