8月14日に米商品先物取引委員会(CFTC)が公表した11日時点の建玉報告では対ユーロにおける投機筋のドル売りポジションが一段と膨らんだ様子が鮮明になった。
■ドル売りの中心はユーロ
7月中旬からユーロ高・ドル安基調が強まっている。歩調を合わせるように投機筋もユーロ買い・ドル売りのポジションを積み増している。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは13日付のレポートで「ユーロドルの上昇基調は続きそうだがドル安ではなくユーロ高」としている。「『EU復興基金の設立』と『良質の経常収支黒字』を背景にユーロの価値の割安修正が構造的に進んでいく際にはユーロが全面高になってユーロドル相場とユーロ円相場が同じように上昇、ドル円相場のトレンドに対しては中立的に作用するとみられる」という。どこまでユーロ高が進むのか。市場の関心も高まりそうだ。
ユーロ買い・ドル売りが膨らむことで全体的なドル売りポジションも増大した。QUICKがまとめた主要通貨の投機筋の建玉も引き続きドル売りが拡大した。
■米超長期債のポジション
米30年物国債先物に対する投機筋のポジションは売り建玉が継続して増加した。ただ、買い建玉も小幅に増えたため差し引きではほぼ横ばい。低下傾向にあった30年債利回りは8月中旬から切り返し始めた。米住宅ローン金利などへ影響を与えるだけにやや注意が必要と言えそうだ。
■コモディティ関連
貴金属では金先物、銅先物で徐々に差し引きの買い越し幅が縮小している。銀先物にいたってはポジションそのものが減少傾向にある。貴金属の上げ相場に一服感が強まるかもしれない。
原油先物については目立った動きは見られなかった。
■米株式
再び上値を試し始めた米株式相場だが、投機筋の建玉では目立った変化は見られなかった。
<金融用語>
シカゴIMM投機筋ポジションとは(CFTCとは)
CME(シカゴマーカンタイル取引所)の一部門であるIMM(International Monetary Market)で取引される通貨先物に関する投機筋の買い建て玉、売り建て玉の枚数の変化数値。米国ではCFTC(Commodity Futures Trading Commission=全米先物取引委員会)の元、各先物商品の未決済ポジション・データの公表が義務付けられており、その一環として公表されている。毎週火曜日の取引終了後に各取引所はデータをCFTCに提出、集計したデータを金曜日の取引終了後(日本時間土曜日の午前5時30分頃)にCFTCはホームページ上で公表している。ヘッジファンドなど投機筋のポジションの変化をとらえることで相場の方向性を知る手段として市場で注目されている。