マネックス・アセットマネジメントは14日、「マネックス・アクティビスト・ファンド(愛称:日本の未来)」の月次レポートを初めて公開した。経営者との対話(エンゲージメント)を通じて企業価値の向上を狙うファンドで、個人向けの公募では珍しいタイプの投資信託。6月25日に設定され、「物言う株主(アクティビスト)」ファンドとして話題となり、投資する銘柄にも注目が集まっていた。
■松本氏が直接エンゲージメント
このファンドに投資助言をするのは、マネックスグループ(8698)の松本大社長が取締役会長を務めるカタリスト投資顧問。初の月次レポートの冒頭で松本氏は「私の経験とネットワークと情熱の全てを注ぎ込んでいく」と強調した。さらに松本氏自身がアクティビストとして既にいくつか直接エンゲージメントをしたことを明らかにし、そのプロセスや企業側の反応なども公表。アクティビスト投資については「知的で、戦略的で、コミュニケーションを駆使し、大きなリターンを狙う、とてもエキサイティングな活動」と語った。
■組み入れ銘柄は非公開
7月末のポートフォリオで開示されたのは、業種構成比(上位5業種)と資産構成比、投資銘柄の時価総額構成比、保有銘柄数のみ。具体的な個別銘柄は一切公開されず、ベールに包まれたままとなっている。保有銘柄数は54だが、すべてがエンゲージメントを目的とした銘柄ではない。このうち株式相場のトレンドを反映させたり、リスクを調整したりするための「マーケットインサイト銘柄」が40社にのぼり、大部分を占めていることが分かった。
■マネックス証券以外でも販売開始
設定当初はマネックス証券の1社が販売し、設定時に32億円を集めてスタートした。19日時点の純資産総額は37億円で、目指す「年間設定額600億円」とはまだ距離がある。今月17日からは楽天証券が販売を始め、さらに21日にSBI証券、28日にauカブコム証券、31日に松井証券(8628)と、大手ネット証券そろって取り扱うようになる。販売会社の拡大で残高を伸ばし、個人投資家の声を束ねた「物言う株主」として影響力を発揮していけるか注目だ。(QUICK資産運用研究所=石井輝尚)