ハイテク株比率が高い米ナスダック総合株価指数の最高値更新が続いている。コロナ禍から底入れした3月下旬以降にV字回復を果たし、国内で販売されているナスダックの投資信託も成績を伸ばした。好成績で個人投資家の関心が集まり、引き続きマネーが流入している。
■成績トップは「iFreeレバレッジ」
国内公募の追加型株式投信(ETF除く)のうち、ナスダック関連は10本ある。ナスダック総合株価指数が年初来安値をつけた3月23日からの戻り局面でリターン(分配金再投資ベース、8月19日時点)が高い順にランキングしたところ、トップは「iFreeレバレッジ NASDAQ100」のプラス156.4%だった(図1)。同ファンドはナスダック100指数(米ドルベース)の2倍程度の値動きを目指すレバレッジ型。年初来資金流入額(推計値)も140億円と断トツで、純資産総額(残高)でも首位に立った。
同じ指数(円ベース)に2倍のレバレッジを掛けたブル型の「T&Dダブルブル・ベア・シリーズ7(ナスダック100・ダブルブル7)」はプラス101.4%で2位だった。一方、逆方向に2倍値動きするベア型の「T&Dダブルブル・ベア・シリーズ7(ナスダック100・ダブルベア7)」は、マイナス53.9%に落ち込んでいる。
■分配金増額の動きも
3位と4位にはナスダック上場企業から銘柄を選定するアクティブ型が並んだ。どちらも為替ヘッジをするタイプで、組み入れ銘柄上位にはアマゾン・ドット・コム(AMZN)やマイクロソフト(MSFT)などが入っている。マザーファンドが同じで為替ヘッジのないコースは円高・ドル安の影響でやや遅れをとった。
このうち7月31日に年1回の決算を迎えた「三菱UFJ NASDAQオープン」は分配金を増額した。為替ヘッジありのAコースの1万口あたり分配金を800円(前年はゼロ)、為替ヘッジなしのBコースを1500円(前年は350円)にそれぞれ積み増した。
■値動きの大きさやコストに留意を
好成績で関心が高まり、人気を集めているナスダック関連投信だが、投資する際には留意点もある。一つ目は値動きが相対的に激しいこと。特にレバレッジ型は変動幅が大きい。相場上昇時は良いが、下落時は基準とする指数よりも基準価額が大きく下がり、回復に時間がかかることもある(図2)。
二つ目はコストだ。運用担当者が銘柄を厳選する「アクティブ型」や指数に連動する「インデックス型」などのタイプがあり、ファンドによって信託報酬にバラツキがある。似たような名前であっても運用方針やコストが異なるので、自身の取れるリスクの大きさや想定する保有期間、コスト面なども考慮してファンドを選ぶことが重要だ。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)