トランプトレードを追い風に年末ラリー。株高基調は続くと多くの投資家が期待したが、ここにきて足踏みしているようにみえる。13日終了週のダウ工業株30種平均とS&P500種株価指数は週間ベースで下落。主力のテクノロジー株は堅調で、ナスダック総合株価指数は4週連続で上昇。心理的な節目の2万の大台を一時超えた。
13日の取引終了後。ナスダック証券取引所はナスダック100指数の年次銘柄入れ替えを発表した。金融セクターを除くナスダック銘柄の時価総額の大きさと流動性で判断される。ナスダックの「エリートクラブ」ともいえる指数に、投資家注目のマイクロストラジーが新規採用された。法人向けソフトウェア会社だが、暗号資産(仮想通貨)ビットコインの大量保有で知られる。
ビットコインは年初から130%超上がった。マイクロストラテジーの株価はそれを大きく上回る500%近く上昇。CNBCは、ナスダック100採用により、人気のインベスコ「QQQ」をはじめナスダック100に連動・関連するETF(上場投資信託)が自動的にマイクロストラテジー株を購入するため、さらに上昇する可能性があると報じた。S&P500に来年採用されるとの観測もあるとしている。
データ解析企業パランティア・テクノロジーズと軍や警察向け機器を開発するアクソン・エンタープライズも、ナスダック100に採用された。遺伝子解析のイルミナ、コロナワクチンで知られるモデルナ、会計処理をめぐり株価が急変動したスーパー・マイクロ・コンピューターは指数から外れる。思惑で銘柄が入れ替わる23日前にも個別に影響するとみられる。
個別銘柄はさておき、2025年の米株式市場については強気な見方が多い。ゴールドマン・サックスは、「2025アウトルック」で、S&P500は来年末までに6500に上昇、配当を含めると10%のリターンが期待できるとコメントした。CNBCの調査によると、ウォール街のストラテジストの来年末のS&P500平均予想は6630。投資週刊誌バロンズは、S&P500はAI(人工知能)の成長と規制緩和の組み合わせで大幅上昇すると予想されているが、投資家は大幅な変動に備えるべきと報じた。「トランプ2.0」で投資環境は大きく変わる。足踏み状態のいまの相場は変動前の静けさかもしれない。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。