【日経QUICKニュース(NQN) 寺沢維洋】7日の東京株式市場で東エレク(8035)が売られた。一時、前週末比1030円(3.8%)安の2万6380円とおよそ2カ月ぶりの安値を付けた。ロイター通信などが日本時間5日、「米政府が中国の半導体受託生産最大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)を禁輸措置の対象として検討している」と報じた。米ハイテク株の下落が続き、ただでさえ地合いが悪いなか、株価はダブルパンチを受けている。
業績への影響を警戒した売りで、同じく半導体関連のスクリン(7735)は7日、一時下落率が5%を超えた。ディスコ(6146)は4%安となった。SMIC株は香港市場で20%安となる場面があった。
※7日の半導体関連株の日中足チャート。4日終値を100として指数化
■SMICは日本企業の顧客
米当局はSMICを商務省の「エンティティー・リスト」に加えることを検討しているという。ゴールドマン・サックス証券の半導体セクターの担当アナリスト、中村修平氏らは7日付のリポートで「SMICは2020年の設備投資額を前年比3.3倍の67億ドル(約7120億円)に増額するなど、日本の半導体関連企業にとって存在感を高めつつあった顧客企業の一つ」と指摘。「報道が事実であればネガティブな影響が顕在化しうる」という。
仮にSMICが禁輸措置を受けて設備投資を減額した場合、日本の関連企業への影響には濃淡が見られそうだ。
■影響減の企業も
SMICの先端ノード向けの投資額が減少すると、半導体前工程の製造装置を手掛ける東エレクやスクリンがネガティブな影響を受ける。稼働率が低下すると、組み立て・検査の外部委託(OSAT)の仕事量の減少によってディスコ、アドテスト(6857)、東京精(7729)にもマイナスの影響が及ぶ可能性がある、と中村氏はみている。
一方、アルバック(6728)やレーザーテク(6920)は、売り上げに占める中国の半導体企業向けの割合が小さいとされる。レーザーテクやアルバックの株価は7日、プラス圏で推移する場面もある。
半導体の需要そのものは次世代通信規格「5G」などの普及を背景に堅調に伸びるとみられている。SMIC以外の中国企業が研究開発を強化するために装置の購入量を増やすことも考えられるため、中長期的にはマイナスの影響が緩和されるとの見方もある。
ただ、ゴールドマンの中村氏は「米国製の装置が一部のプロセスで独占的なシェアを持っているため、日本企業が恩恵を受ける可能性は低いだろう」とみていた。