14日の米国株式市場で画像処理半導体(GPU)大手のエヌビディア(NDVA)が急伸し、一時9%高の532.58ドルを付ける場面があった。引けにかけては上げ幅を縮小し、通常取引の終値は前営業日比5.81%高の514.89ドルだった。英半導体設計のアームの買収を発表したことやアナリストによる目標株価の引き上げも買い材料視された。
この日同社はソフトバンクグループ(9984)および傘下のソフトバンク・ビジョン・ファンドからアームを400億ドルで買収することに最終合意したと発表。リリースによるとエヌビディアの最先端のAI(人工知能)コンピューティングプラットフォームとアームのエコシステムの融合でイノベーションを加速させ、巨大な成長市場へ事業展開が可能になるとした。株式保有比率は10%以下を見込む。
■収益の加速化
発表を受け、アナリストから目標株価の引き上げが相次いだ。BofAセキュリティーズは、14日付のリポートで目標株価を600ドルから650ドルに引き上げた。リポートによると今回の買収は、規制当局の厳しい調査に直面する可能性があるが、コンピュータ業界に変革をもたらす可能性があるとした。エヌビディアは高性能クラウドコンピューティング、人工知能(AI)、次世代通信規格(5G)、およびIoT(モノのインターネット化)分野における収益を加速出来る独自の位置にあるとみているようだ。
アームは現在、エヌビディアの現在の競争相手の多くを含む非常に多くの顧客にプロセッサIP(設計図)を供給している。エヌビディアはこのライセンスモデルを維持し、同社の高速化技術とAI技術を使ってアームのIPを強化し改善する計画だとした。アナリストの目標株価の平均は557ドルとなり、ジェフリーズは14日付のリポートで目標株価を各社の中で最も高い680ドルに引き上げた。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)