商務省が中国半導体受託生産の中芯国際集成電路製造(SMIC)に米国企業などが特定製品を輸出する場合に、事前に同省の許可を得るように求めていることが分かった。英フィナンシャル・タイムズ紙電子版によれば、米商務省はSMICに関して「最終的に軍事的な用途に転用される、容認できないリスクをもたらす」と懸念を示したという。トランプ政権としては華為技術(ファーウェイ)をサプライヤーから切り離した後、中国の半導体産業にダメージを与える狙いがあるとみられる。
ドイツ銀行証券は27日付のリポートで「アプライド・マテリアルズ、ラムリサーチ、KLAなどの米国を拠点とする企業は影響を受ける可能性が高い。許可を申請するのは間違いないが、認可されるのか、いつ認可されるのか分からない」と指摘した。半導体ウェハの総需要が変わらない限り、「半導体メーカーらは長期的な影響はないと主張するだろう」としながら、短期的な混乱が生じる可能性が高いと指摘。
ウェハ製造装置(WFE)に占めるSMICの売上高は40億ドルと試算し、ファーウェイのサプライチェーンに対応するためSMICは設備投資予算を前年の20億ドルから67億ドルになっていたことにも着目。その上で、「貿易摩擦が激化した場合、最大100億ドルのWFEがリスクにさらされる可能性がある」とし、他の中国半導体メーカーにも影響が及ぶ可能性があるとみていた。メモリ製造で使用される装置は最先端の技術に重点が置かれる傾向があるといい、代替装置を見つけることが非常に困難になることにも注意が必要だという。
28日の東京株式市場でも東京エレクトロン(8035)など関連株に売りが優勢となっている。(QUICK Market Eyes 片平正二)