国内公募投資信託の新規設定が急回復している。今年4~6月にわずか32本だったのが、7~9月は81本まで戻した(図A)。新型コロナウイルス感染拡大の影響が一服し、当初設定額の合計も大幅に増加した。
■当初設定額、7~9月に急増
7~9月に新規設定されたファンドの当初設定額の合計は8198億円と、4~6月(570億円)の14倍に膨らんだ(図B)。コロナ前までの四半期と比べてもかなり多い。
■「未来の世界(ESG)」、歴代2位の大型設定
7~9月に新規設定したファンドのうち当初設定額が最も大きかったのは、アセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」。今年最大かつ歴代2位の3830億円を集め、7月20日に運用を始めた。
同ファンドは世界の株式のうち、企業の競争優位性や成長力に加え、ESG(環境・社会・企業統治)への取り組みも考慮して投資先を選定する。募集段階ではみずほ銀行とみずほ証券の2社で販売した。その後も資金流入が続き、9月30日時点の純資産総額(残高)は6000億円を突破した。
■7月に大型設定が続く、今年上位を独占
2位は日興アセットマネジメントが7月31日に設定した「デジタル・トランスフォーメーション株式ファンド<愛称:ゼロ・コンタクト>」で、今年2番目に大きい859億円を集めた。デジタルトランスフォーメーション(DX)関連企業のうち、飛躍的な成長が期待できる「非接触型」ビジネスを手掛ける企業に投資する。販売会社はSMBC日興証券1社。
3位の「HSBCグローバル・ターゲット利回り債券ファンド2020-07(限定追加型)」は704億円で運用を開始。設定日は7月31日で、今年の新規設定ファンドでも3番目の大きさだった。日本を含む世界の米ドル建て債券を投資対象とする。
今年の当初設定額ランキング(9月30日時点)では、7月下旬に新規設定したファンドが3位までを独占した。上位10本のうち7本が7~9月に設定されたファンドだった(図C)。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)