2020年9月中間決算の発表を前にアナリストの業績上方修正が増えている。主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDIは、金融を含む全産業ベース(9月末時点)でマイナス13と、前月のマイナス32から19ポイント改善した。改善は3カ月連続だ。電機セクターのDIが2018年9月以来2年ぶりにプラスに転じるなど、一部の業種は業績悪化が底入れした可能性がある。
■電機と食料品がプラス圏に浮上
製造業DIは前月から26ポイント改善のマイナス12だった。銅などの金属価格の強含みを受けて、非鉄金属がマイナス14と前月のマイナス100から大幅に改善した。なかでも電機が20(8月はマイナス17)、食料品が16(同マイナス40)とプラスに転じてDIを押し上げた。食料品は2018年3月以来(2018年5月のゼロは除く)のプラスだった。
非製造業DIも改善しており、情報・通信セクターが唯一のプラスだった。ただ、菅政権の誕生で携帯料金の引き下げ懸念が強まっており、今後の業績動向については注視する必要がありそうだ。
算出対象の16業種中でDIがプラスの業種は3業種。一方、マイナスの業種は12業種、変わらずは1業種だった。
■業績改善期待でDeNA株は約1年ぶり高値
個別銘柄では3カ月前比で純利益の上方修正率が最も大きかったのは、ディー・エヌ・エー(2432)だった。ライブ配信アプリ「Pococha(ポコチャ)」が新たな収益の柱になるとの期待もあり、株価は9月末に1954円と2019年10月以来の高値を付けた。低迷していたゲーム事業も最悪期を脱したとの見方がある。
原油価格の持ち直しを背景にENEOSホールディングス(5020)や国際石油開発定石(1605)といった石油関連の修正率も大きくなった。
一方、下方修正率が最も大きかった銘柄はリコー(7752)。長引くコロナ渦でプリンターなどオフィス用品の需要が落ち込むとの見方がある。構造改革効果の一巡も大幅下方修正につながったようだ。
※最終赤字の銘柄は除く。9月末時点。
単位は純利益が百万円、変化率は%。
直近、3カ月前とも5社以上のアナリストが業績予想を出している銘柄が対象。
(QUICK Market Eyes 根岸てるみ)
◆QUICKコンセンサスDIとは◆
アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。