日本時間10月2日、トランプ米大統領が自身のツイッターで「検査を受けた新型コロナウイルスで陽性が判明した」と明らかにした。メラニア大統領夫人の感染も明らかになった。トランプ氏のコロナ感染で米政治の先行き不透明感が広がり、日経平均株価の下げ幅は一時200円を超えた。
■市場への影響
現職米大統領のコロナ感染に、市場では一気に動揺が広がった。日経平均先物12月物の前日清算値に比べ、370円安い2万2940円を付けた。米シカゴ市場では米株価指数先物が急落。流動性の高い「Eミニ・ダウ工業株30種平均」の12月物の下げ幅は一時500ドルを超えた。「Eミニ・ナスダック100株価指数先物」の下落率は2%を超えた。
外国為替市場では、運用リスクの回避を目的とした円買いの動きが強まり、1ドル=105円台半ばの水準から一時104円台まで円高・ドル安が進んだ。相対的に安全な資産とされる米国債に買いが集まり、1日に0.68%だった米長期金利は一時0.66%前後まで低下した。原油先物の価格も大幅に下落している。
■米経済停滞への懸念
市場では「米大統領選まで約1カ月に迫った大事な時期に感染が判明したことによる衝撃がまずは大きい」(大和証券の壁谷洋和チーフグローバルストラテジスト)との声が上がる。
トランプ大統領の感染判明を受け、米政治の中枢に感染者が広がっていないかとの連想も働きやすい。すでにトランプ氏の側近であるホープ・ヒックス氏が感染したことが判明していた。コロナ禍からの経済正常化を進めるなか、政策停滞への懸念が市場を駆け巡っている。〔日経QUICKニュース(NQN)矢内純一、菊池亜矢〕