【QUICK Market Eyes 片平正二】米選挙分析サイト、ファイブ・サーティー・エイトによると10月25日時点でバイデン前副大統領が選挙で勝つ可能性は87%となっており、算出以来の最高値圏にある。19日に88%まで上昇し、その後も高止まりが続いている。バイデン米大統領の誕生をきっかけとした米株安シナリオはぬぐい切れないまま。対応策として日本株への投資を選択肢に挙げる動きも出てきた。
■第2回テレビ討論会後の支持率
野村証券は23日付のリポートで、22日に行われた第2回目のテレビ討論会に関して「トランプ大統領は、マイクの音声を切る措置などのルール変更に対して反発したものの、結果的に、混乱が抑えられたためCNNの調査を見ると、トランプ大統領に対する全体の評価(どちらが勝利したか)は39%と、第1回討論会(28%)よりも改善した」と指摘した。ただ一方で「全体の評価ではバイデン候補の53%を上回るものではなく、また、NBC取材による識者の評価では3名ともバイデン候補優勢という結果だった」とも指摘し、討論会全体としてはバイデン氏優位の流れが続いたとみていた。さらに「トランプ氏は討論会でも、バイデン候補に対して疑惑を持ち出しそうとしたものの、バイデン候補は、トランプ氏が発言する前にハンター・バイデン氏に関するロシアの偽情報の拡散を促したとして、トランプ氏を批判した。さらに、バイデン候補は、トランプ氏が納税申告書を公表しないことや、同大統領が中国に開設した預金口座の疑惑などにも触れた」ことを踏まえつつ、「これらを踏まえると、トランプ氏の巻き返しには至らず、討論会が直接のきっかけとなって双方の支持率が逆転するような変化を与える可能性は限定的だろう」とし、バイデン氏優位の流れが続くとみていた。
■リスクヘッジとしての日本株
今週は日米共に決算シーズンが本格化するが、注目は29日の米検索大手グーグルの親会社であるアルファベット、アマゾン・ドットコム、フェイスブック、アップルといったプラットフォーマー4社のGAFAの決算集中日だ。市場に占める時価総額が大きいだけに、決算後の米株の動向が警戒される。
みずほ証券は23日付のリポートで、GAFAM株の下落に備えたリスクヘッジとしての日本株投資戦略を披露した。GAFAにマイクロソフトをプラスしたGAFAMに関して「5社の時価総額合計は約7兆ドルと、2180社で構成される東証1部の時価総額(620兆円)を大きく上回る。GAFAMの時価総額はS&P500の約4分の1、ナスダック市場の約3分の1、ナスダック100指数(金融を除く時価総額が大きい100社で構成)の過半数を占める」としながら、「大統領選挙で民主党が『トリプルブルー』を獲得し、テクノロジー企業への規制強化が現実のものとなる可能性もあるため、米国テクノロジー株以外へポートフォリオのリスク分散を一定程度行うべきだろう」とも指摘。「ナスダック100指数と相関が低い日本株を一定程度保有することを勧めたい。TOPIXは先進国の中ではナスダック100指数との相関が低い。米国株のリスクヘッジとして、中国株保有を増やそうとする投資家もいるようだ」とし、GAFAMの調整に備え、ナスダック100指数と相関性の低い日本株へのシフトに妙味があると指摘した。
■ナスダック100指数との相関
以下はJR西日本(9021)やゆうちょ(7182)など、みずほ証券がナスダック100指数との相関性が低いとリストアップしたものと、ソフトバンクG(SBG、9984)や東エレク(8035)など、相関性が高いとリストアップしたものを指数化したもの。相関性が低い銘柄群は年初来でマイナス10.07%となり、相関性が高い銘柄群(15.94%)を大きくアンダーパフォームしていた。
<金融用語>
時価総額とは
上場株式(個別銘柄あるいは上場銘柄すべて)が、どの程度の規模なのかを示すもの。個別銘柄の時価総額は、その株価に発行済株式数をかけたもので表すことができる。