主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDIは、金融を含む全産業ベース(10月末時点)でマイナス2と、前月のマイナス13から11ポイント改善した。改善は4カ月連続。2018年8月以来のプラス圏が視野に入ってきた。業種別では16業種中12業種が前月から改善した。
■16業種中4業種がプラス圏に浮上
製造業DIは前月から6ポイント改善のマイナス6だった。機械が38ポイント改善しゼロと、18年9月以来2年1カ月ぶりにマイナス圏を脱した。輸送用機器も27ポイント改善したマイナス21と18年10月以来の水準まで持ち直した。
非製造業DIは10ポイント改善のゼロと、18年2月以来2年8か月ぶりにマイナス圏を脱した。非製造業の8業種すべてが前月比で改善した。中でも、銀行が57ポイント改善、その他金融が40ポイント改善し、DIを押し上げた。
算出対象の16業種中でDIがプラスの業種は電機、情報・通信、小売、その他金融の4業種だった。一方、マイナスの業種は9業種、ゼロは食料品、機械、不動産の3業種だった。
■安定黒字にメド、郵船の上方修正目立つ
個別銘柄では3カ月前比で純利益の上方修正率が最も大きかったのは、日本郵船(9101)だった。同社のコンテナ船事業は、新型コロナウイルスの感染拡大を受け4~5月に需要が大きく落ち込んだものの、運賃は安定推移した。足もとでコンテナ荷動きが回復局面にある中、安定的な黒字メドがたったとして通期業績予想を上方修正する動きが見られた。
先月にアナリスト予想の上方修正率が最も大きかったディー・エヌ・エー(2432)が、今月も上位にランクインした。
下方修正率が最も大きかった銘柄は先月同様、リコー(7752)だった。新型コロナウイルスの影響長期化に伴う在宅勤務の拡大を受けて、複合機など従来ビジネスの需要の落ち込みが鮮明となっている。通期見通しを下方修正した証券会社が相次いだ。新型コロナの影響一巡後は利益成長を見込む向きもあったが、短期的には厳しい業況が続くとの予想が大勢を占めた。2番手の昭和電工(4004)も変わらず。
※最終赤字の銘柄は除く。10月末時点。
単位は純利益が百万円、修正率は%。
直近、3カ月前とも5社以上のアナリストが業績予想を出している銘柄が対象。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
◆QUICKコンセンサスDIとは◆
アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。