投資信託の運用状況が悪化している。規模が大きいファンドの大部分は10月のリターンがマイナスだった。欧州発の新型コロナウイルス感染「第2波」に対する警戒感に加え、世界の金融市場で米大統領選を控えた調整も入り、10月の運用成績は全般に不調だった。
■海外REIT型の不振が目立つ
国内公募の追加型株式投資信託(ETFを除く)のうち、10月末時点の純資産総額(残高)上位20本の1カ月リターン(分配金再投資ベース)を調べてみたところ、プラスは4本のみだった(図表参照)。
運用成績が特に低調だったのは、海外の不動産投資信託(REIT)に投資するファンド。20本中運用成績が最も低かったのは「新光 US-REIT オープン<愛称:ゼウス>」のマイナス3.38%だった。2位は「フィデリティ・USリート・ファンドB(為替ヘッジなし)」、3位は「ダイワ・US-REIT・オープン(毎月決算型)Bコース(為替ヘッジなし)」と続き、下位3位までを海外REIT型(QUICK独自の分類)が占めた。コロナ禍を経て生活様式が一変し、世界的に不動産を取り巻く環境が不透明になっていることが大きく影響していそうだ。
■「グロイン」や「THE 5G」はプラス
残高1位のピクテ投信投資顧問が運用する「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」は1.71%のプラスだった。世界の高配当利回りの公益株に投資しており、15年超の運用実績がある長寿ファンドでもある。公益株は一般的に景気の良し悪しに左右されにくく、世界的な相場調整局面でも底堅い傾向がある。3カ月、6カ月のリターンを見ても、リスク(振れ幅)の小ささが見てとれる。
20本中最も運用成績が良かったのは、三井住友トラスト・アセットマネジメントが運用する「次世代通信関連 世界株式戦略ファンド<愛称:THE 5G>」のプラス3.61%。3カ月、6カ月リターンともに堅調な成績だった。世界の次世代通信規格「5G」関連企業の株式に投資するファンドで、9月末の最新月次レポートによると投資先の6割超を米国が占める。組み入れ銘柄数は47で、上位には顔認証部品の米ルメンタム・ホールディングス(LITE)や米通信計測機器大手のキーサイト・テクノロジーズ(KEYS)、仮想デスクトップ大手の米ゼンデスク(ZEN)が並んだ。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき、西田玲子)