来週(11月9~13日)は外国為替市場で円相場が強含み、1ドル=102円台をうかがう場面がありそうだ。5日のニューヨークの取引時間帯以降、投資家の姿勢がリスク運用に傾いたのに伴ってドル売り圧力が強まり、円は上値メドとされてきた104円近辺を超えて103円台へ水準を切り上げた。このところ日本の貿易黒字額は拡大傾向となっており、国内輸出企業などによる円買いが入りやすいことも円の上昇要因となりそうだ。
開票作業が続く米大統領選は、トランプ大統領が法廷闘争に持ち込む構えをみせるなど混乱が長期化するとの懸念が広がっている。米国では来週、物価統計や消費者態度指数といった指標が発表される予定だが、市場では「大統領選の先行き不透明感がある以上、経済指標の結果で為替相場が大きく動くとは思えない」(伊藤忠総研の武田淳氏)との指摘が聞かれた。
東京株式市場では、日経平均株価が2万4000円を上回って堅調に推移するとの見方が多い。6日に約29年ぶりの高値を付けたとあって、投資家心理は上向いた状態が続きそうだ。米大統領選を巡って、株式市場は勝者が確定しない状況が長引くことをほぼ織り込んでいる。仮に民主党のバイデン前副大統領が過半数の選挙人を獲得する見通しとなっても、トランプ大統領が敗北を認めないと予想されるためだ。
市場はバイデン新大統領の下で上院が共和党、下院が民主党のねじれ議会となるシナリオを固めつつある。このシナリオから外れなければ、金融相場を期待した米株式相場の上昇が続きそうで、日本株にも買いが優勢となるとの声があった。もっとも、円高・ドル安は一定程度、株価の重荷になりそうだ。仮に1ドル=100円の水準を超えて円高・ドル安が進みそうになれば、輸出企業の収益悪化への懸念などから日本株の上値は徐々に限られるだろう。
【主な予定】
◇9日(月)
・10月上中旬の貿易統計(財務省、8:50)
・日銀金融政策決定会合の主な意見(10月28~29日開催分、8:50)
・6カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・11月のQUICK月次調査<株式>(11:00)
・9月の景気動向指数速報値(内閣府、14:00)
・4~9月期決算=大林組、清水建、東急不HD、JFE、日製鋼、三井金、住友鉱、マツダ、ワークマン、セコム、ソフトバンクG
・1~9月期決算=ヤマハ発
・米3年物国債入札
・海外7~9月期決算=マクドナルド、ビヨンド・ミート
◇10日(火)
・閣議
・9月の国際収支(財務省、8:50)
・対外・対内証券売買契約(月間、財務省、8:50)
・10月の貸出・預金動向(日銀、8:50)
・30年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・9月の特定サービス産業動態統計速報(経産省、13:30)
・10月の景気ウオッチャー調査(内閣府、14:00)
・4~9月期決算=石油資源、鹿島、日揮HD、明治HD、ディーエヌエ、富士フイルム、出光興産、住友大阪、太平洋セメ、カシオ、IHI、大日印、セイコーHD、りそなHD、東急
・1~9月期決算=資生堂
・7~9月期決算=パンパシHD
・10月の中国消費者物価指数(CPI、10:30)
・10月の中国卸売物価指数(PPI、10:30)
・7~9月期のフィリピン国内総生産(GDP)
・11月の欧州経済研究センター(ZEW)の独景気予測指数(19:00)
・クオールズ米連邦準備理事会(FRB)副議長が米上院で証言(11日4:00)
・米10年物国債入札
・海外7~9月期決算=リフト
◇11日(水)
・10月のマネーストック(日銀、8:50)
・11月のESPフォーキャスト調査(日本経済研究センター、15:00)
・4~9月期決算=大成建、大和ハウス、三越伊勢丹、三井化学、ENEOS、ハーモニック、東芝、コンコルディ、凸版、菱地所
・1~9月期決算=電通グループ
・ニュージーランド中銀が政策金利を発表(10:00)
・中国のネット通販市場で「独身の日」商戦
・ベテランズ・デーの休日で米債券・外国為替市場が休場
◇12日(木)
・9月の機械受注統計(内閣府、8:50)
・対外・対内証券売買契約(週間、財務省、8:50)
・10月の企業物価指数(日銀、8:50)
・10月のオフィス空室率(三鬼商事、11:00)
・5年物利付国債の入札(財務省、10:30)
・安達日銀審議委員が長野県金融経済懇談会であいさつ(10:30)
・9月の第3次産業活動指数(経産省、13:30)
・安達日銀審議委員が記者会見(14:00)
・4~9月期決算=コスモHD、日産自、シチズン、丸井G、新生銀、三井住友トラ、みずほFG、住友不
・1~9月期決算=マクドナルド、すかいらーく、楽天、ブリヂストン、荏原
・7~9月期の英国内総生産(GDP)速報値(16:00)
・9月のユーロ圏鉱工業生産(19:00)
・10月の米消費者物価指数(CPI、22:30)
・週間の米新規失業保険申請件数(22:30)
・10月の米財政収支(13日4:00)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が討議に参加(13日4:00)
・米30年物国債入札
・海外7~9月期決算=騰訊控股(テンセント)、ウォルト・ディズニー
・海外8~10月期決算=シスコシステムズ
◇13日(金)
・閣議
・3カ月物国庫短期証券の入札(財務省、10:20)
・10月の投信概況(15:00)
・株価指数オプション11月物の特別清算指数(SQ)算出
・4~9月期決算=ヤクルト、日本郵政、SMC、かんぽ生命、ゆうちょ銀、オリンパス、三菱UFJ、三井住友FG、第一生命HD、T&D、Jディスプレ
・1~9月期決算=大塚HD、DIC、BASE
・7~9月期のマレーシアGDP
・9月のユーロ圏貿易収支(19:00)
・ウィリアムズ・ニューヨーク連銀総裁が講演(21:00)
・10月の米卸売物価指数(PPI、22:30)
・11月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ、14日0:00)
(注)時間は日本時間
〔日経QUICKニュース(NQN)〕