16日の米国市場で米新興製薬企業のモデルナ(MRNA)が大幅に4日続伸し、9.57%高の97.95ドルで終えた。一時は103.20ドルまで上昇し、7月17日に付けた上場来高値を4カ月ぶりに更新した。
16日、開発中の新型コロナウイルス(COVID-19)のワクチンの最終治験で94.5%の有効性が初期データから得られたと発表した。数週間以内に米食品医薬品局(FDA)に緊急使用許可を申請するといい、ファイザー(PFE)と独ビオンテックが9日に共同開発中のワクチンで暫定的ながら効果があると発表したことに続いてワクチンの実用化期待で買いが殺到した。
BMOキャピタル・マーケッツは16日付のリポートで「モデルナの第3相治験の最初の中間解析で報告された94症例で94.5%の有効率が示されたことは非常に有望で、ワクチン接種を受けて新型コロナを発症した5人がいずれも重症と分類されなかったことも励みになるが、サンプル数は少ない」と指摘した。
その上で、「公表されている有効率はモデルナ、ファイザー/ビオンテックのどちらのワクチンが優れているかどうかを決定するには不十分である」としながら、「これまでモデルナのワクチンで報告されたグレード3の毒性の発生率は些細なものではなく、改善の余地を残しているが、我々の見解では一旦完全な承認が承認される可能性がある場合、広く受け入れられることを妨げるべきではないことに留意する」とも指摘。
モデルナのワクチンがドライアイスで温度管理ができて比較的簡単に輸送ができ、ほとんどの診療所で従来の冷凍庫での保管が可能な点に着目し、「最終利用者の管理がシンプルになると考えている」としてファイザー/ビオンテックのワクチンがセ氏マイナス70度前後という超低温で保管する必要があるのと比べて管理が楽なことを好感した。「最先端を行くモデルナとファイザー/ビオンテックのワクチンが市場シェアの大部分を占めるだろう」とみつつ、投資判断の買い(アウトパフォーム)、目標株価94ドルを維持していた。(QUICK Market Eyes 片平 正二)