【NQNニューヨーク 川内資子】米主要金融機関が来年の米株相場で強気の見通しを相次いで打ち出している。新型コロナウイルスのワクチンの普及で米経済が正常化するとの期待が広がっているためだ。上院選で共和党が過半数を維持して「ねじれ議会」となる可能性が高まり、増税などバイデン政権の政策が実行されにくいとの見方も背景にある。
モルガン・スタンレーは機関投資家が運用の参考にするS&P500種株価指数は来年末に3900まで上がると予想、従来予想の3600から引き上げた。シティグループは3800へ、ゴールドマン・サックスは4300まで上昇するとみる。ゴールドマンは今年末の予想も3600から3700に引き上げた。JPモルガンは20年末の予想を3600としていたが、21年の早い段階に4000に到達し、来年末までに4500まで上昇する可能性があると予想する。
株価上昇を支えるのは新型コロナワクチンの普及だ。ゴールドマンは「21年中に社会活動が徐々に正常化する可能性が高まった」と指摘する。米ファイザーや米モデルナが開発中のワクチンが臨床試験で90%を超える有効性を示し、実用化が現実味を帯びている。
政策効果を織り込む動きもある。モルガン・スタンレーは「経済支援策などに支えられ、世界経済は持続的に回復する」と予想。中小型株を含む景気敏感株の保有を推奨する。シティグループは「米大統領選と議会選挙の結果、バイデン次期大統領が掲げる大幅増税の可能性が減った」と指摘した。
<2021年末のS&P500種株価指数の予想>
米主要金融機関 | 予想値 |
JPモルガン |
4500 |
ゴールドマン・サックス | 4300 |
モルガン・スタンレー | 3900 |
シティグループ | 3800 |