コロナショックで世界の株式相場が大きく下げた3月から半年以上が経ち、運用環境は改善してきた。投資信託の運用がどれくらい回復したか、主に国内株式で運用するファンドについて調べてみた。
■9月末時点の「回復度」をランキング
対象は国内公募の追加型株式投資信託(ETF、DC・ラップ専用を除く)のうち、国内株式型のファンド(QUICK独自の分類)。9月末までの値動きを比較し、「回復度」の上位と下位をランキングした。
「回復度」の算出方法は、コロナショック前に付けた今年の最高値(A、分配金再投資ベース)を起点とし、そこからショックによって付けた最安値(B)までの下落幅を計測。9月末時点(C)でどれくらい持ち直したかを比較して順位をつけた。AからBへの下落幅を9月末までにまるまる取り戻した場合の回復度を「1」とし、数値がそれ以上ならショック後に今年の最高値を更新したことを示す。
■1位は「DIAM新興市場日本株ファンド」
回復度1位はアセットマネジメントOneが運用する「DIAM新興市場日本株ファンド」で、回復度は3.014(図表参照)。国内の新興市場に上場する株式を中心に投資するファンドで、ショック時に大きく値下がりしたものの、その後は急回復した。9月末時点の基準価額は最安値から137.7%上昇した。
2位も同じくアセマネOne運用の「厳選ジャパン」。高い利益成長が期待できる20銘柄程度(10月末時点の組み入れ銘柄数は27)に絞って投資する。上位5本のうち、下落率はマイナス38.1%と大きかった一方、上昇率も153.6%と最大だった。
4位の「BNYメロン・日本株式ファンド 市場リスク管理型<愛称:攻守自在>」は下落率がマイナス10.4%に抑えられた。企業の成長性と株価の割安性を考慮して投資するファンドで、相場の下落リスクが高まったと判断した局面では株価先物を用いて株式組み入れ比率を調整し、基準価額の変動を抑えるしくみをもつ。2019年12月末の実質的な株式組み入れ比率はほぼ100%だったが、20年1、2月末はゼロ%で、その後も細かく調整を続けている。
■ショック後に低迷続くファンドも
一方、9月末時点で回復度が最も低かったのは日興アセットマネジメントの「日本郵政株式/グループ株式ファンド」だった。日本郵政(6178)、ゆうちょ銀行(7182)、かんぽ生命保険(7181)の3銘柄で運用している。3位には「日本製鉄グループ株式オープン」が入った。このような特定の企業グループ株式に絞って投資するファンドは、そのグループが回復局面のけん引役でなかった場合に戻りが鈍くなる。
4位と5位には「国内株式型」の中でも、通貨選択型と呼ばれるタイプが入った。新興国の通貨安の影響を受け、回復に至らなかった。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)