日銀が事務局を務める日本円金利指標に関する検討委員会は30日、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)の公表停止後に参照する金利(フォールバック・レート)について、検討委員会が推奨した案に対する市中協議の結果を公表した。貸し出し、債券とも基準金利の第1順位としてターム物リスク・フリー・レートを採用する委員会の案に、多くの金融機関や証券会社、事業法人などが賛同。委員会は22年のLIBORの公表停止に向けて、金融機関などに対応を進めていくよう求めた。
8月に検討委員会が公表した案では、ターム物リスク・フリー・レートを第1順位とするなど優先順位の「ウオーターフォール構造」が提示され、金融機関などに意見を募っていた。委員会の案に対し、貸し出しについては回答した30社中27社が、債券は31社中30社が賛同した。一部では「指標算出の透明性から無担保コール翌日物金利を第1順位とすべき」などの反対意見もあった。ターム物リスク・フリー・レートそのものの透明性向上や取引の増加など、活性化に向けた取り組みを求める声も出た。
検討委員会は金融情報会社QUICKを新指標の算出・公表主体に選定し、同社は2020年5月から新指標「東京ターム物リスク・フリー・レート(TORF)」の参考値を公表している。遅くとも21年半ばまでに、実際の取引に用いる確定値の算出・公表の開始を目指している。〔日経QUICKニュース(NQN)〕