独ESG評価会社アラベスクS-RayによるESGスコアの11月末時点の日本企業ランキングは、上位3社に変動がなかった。4位はポーラ・オルビスホールディングス(4927)、5位は花王(4452)で、ともに70点台を維持し、10月末からそれぞれ2つ順位を上げた。
■首位オムロン、2位東エレク、3位スギHDは10月末と同順位
11月末時点の首位はオムロン(6645)、2位は東京エレクトロン(8035)、3位はスギホールディングス(7649)だった。海外企業も含めた世界ランキングでは、オムロンが5位、東エレクが7位と2社がトップ10に入った。ともに世界の順位は10月末と同じだった。11月末のESGスコアの日本企業559社の分布状況を10点刻みで見ると、50点以上60点未満が263社と最も多く、40点以上50点未満が125社と続いた。平均は53.31点だった。
アラベスクS-Rayは70カ国・地域以上の7000社を超す企業の公開情報と世界の情報元からESG評価に必要なデータを自動収集し、人工知能(AI)による独自の手法でESGスコアを毎日更新している。ESGスコアは100点満点で、E(環境)、S(社会)、G(企業統治)の3つのサブスコアから構成され、ESG課題の株価へのインパクトを考慮して、業種ごとに評価項目のウエートを変えているのが特徴だ。
■「家庭用品・パーソナルケア」業種のユニチャーム、ピジョン、ロートも高評価
11月末に順位を上げたポーラHDや花王は「非耐久消費財」の「家庭用品・パーソナルケア」業種に分類される。同業種のユニ・チャーム(8113)、ピジョン(7956)、ロート製薬(4527)は3社そろって67点台だった。日本企業トップ20に同業種の5社が入っており、高評価の会社が目立つ。
11月末時点の日本企業の「家庭用品・パーソナルケア」業種9社の平均は65.57点で、日本を含む世界53社平均(59.71点)を上回った。ポーラHD、花王の上位2社はE、S、Gの3つのサブスコアがそろって日本企業平均、世界企業平均を上回るなどバランスもとれている。
「家庭用品・パーソナルケア」業種の日本企業は総じてアラベスクS-RayによるESG評価が高いものの、株価動向をみると必ずしも高水準を維持しているとは限らない。ポーラHDの11月末時点の株価は3カ月前比では8.5%高いが、1年前比では22.7%安い。花王とピジョンは3カ月前比、1年前比ともに騰落率がマイナスだ。一方、ユニチャームの株価は3カ月前比、1年前比ともに大幅に高く、ロートの株価は3カ月前比が1.6%高、1年前比は0.4%安と小幅な変動にとどまっている。株価は収益力や割安・割高といった評価など様々な要因が影響するため、ESG評価がそのまま反映されるわけではない点に注意を払う必要がある。(QUICKリサーチ本部 遠藤大義)