【NQNニューヨーク=張間正義】2020年の米株相場は、未曽有のコロナ禍でも積極的な財政金融政策を支えに上昇した。バイデン政権が誕生し、ワクチンの普及も見込まれる21年相場はどうなるのか、市場関係者や専門家に聞いた。初回はUBSグローバル・ウェルス・マネジメントのシニア株式ストラテジスト、デービッド・レフコウィッツ氏。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントのデービッド・レフコウィッツ氏
――来年の米経済をどうみていますか。
「安全かつ効果的な新型コロナワクチン普及と米連邦準備理事会(FRB)の緩和的な金融スタンスを前提にすれば、21年中に米国の実質国内総生産(GDP)はコロナ前の水準を回復するだろう。経済成長率は過去20年で最も高くなる可能性がある。それに伴い、S&P500種株価指数を構成する主要500社の純利益は前年比26%増、22年度も11%増と2桁増益が続くとみている」
――株式相場の見通しは。
「一言で言えば株式相場に優しい環境が続く。力強い経済と企業業績の回復が想定される一方、FRBは金融引き締めというブレーキを急いで踏むことがないためだ。緩やかな株高が続き、来年末のS&P500種の水準は現状より8%高い4000と予想している」
――S&P500種の予想PER(株価収益率)は22倍で、割高感を指摘する声も増えています。
「PERの絶対水準は歴史的には高いが、過去最低水準にある金利との比較ではそうとはいえない。これまで主要500社の純利益が2割以上増えた年は、PERは平均15%切り下がった。株価上昇率よりも収益回復のほうが大きくなるためだ。コロナ禍という特殊要因で利益が押し下げられている環境では、PERは株価予想に適していない。今後3年間、バリュエーションとS&P500種の相関関係は一段と薄れるだろう」
――1月に誕生するバイデン政権の相場への影響は。
「新政権が効率的にワクチンを普及させ、パンデミックを実質的に終わらせられるかにかかっている。株式市場が収束は失敗するとみなせば株安につながる。大企業や富裕層を対象にした増税、環境規制の強化など経済成長に悪影響を与える政策が懸念されているが、こちらのリスクは小さいだろう。来年はコロナ禍からの経済回復を最優先する政策運営に徹する可能性が高いからだ」
「中国との関係ではバイデン政権も強硬姿勢を継続するため、地政学的な緊張が高まる場面はあるだろう。ただ、トランプ政権に比べ極端なリスクの高まりは予想しておらず、株式相場の大幅な調整を招く場面も減る。バイデン政権は同盟国とより緊密に協力し、予期しない政策や行動を最小限に抑えるためだ」
<デービッド・レフコウィッツ氏の略歴>
ゴールドマン・サックスやクレディ・スイス・アセット・マネジメントなどを経て、2006年にUBS入社。マクロ経済の視点から米株式市場の分析を担当する。米メディア出演も多い。
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