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広がるポイント投資—初心者にハードル低く、ステイホームも呼び水に

記事公開日 2020/12/29 16:00 最終更新日 2021/3/22 08:30 日本株 個人投資家 ポイント投資 ネット証券 米株 NQNセレクト

【日経QUICKニュース(NQN) 中山桂一】新型コロナウイルスに揺れた2020年、投資の世界では日々の買い物などでたまる「ポイント」を使った投資が広がった。現金を持ち出さずとも、ポイントで少額から株式投資ができる。投資家デビューのハードルが低くなったところに新型コロナ禍によるステイホームが重なり、若者を中心とした個人投資家の裾野拡大に一役かっている。

■初心者にハードル低く、ステイホームも呼び水

口座開設数が7倍、約定金額は2倍、約定件数が3倍に増えた――。SMBC日興証券が提供する投資サービス「日興フロッギー」は今年、NTTドコモのdポイントとの提携をきっかけに躍進した。dポイントの導入は今年3月。足元の状況を提携前と比べたのが、前出の数字だ。SMBC日興証券の丸山真志ダイレクト戦略部長は「(dポイントとの連携で)毎日順調に伸びている」と笑みをこぼす。

日興フロッギーがサービスを始めたのは16年。ウェブサイトに掲載する独自記事から、内容に関連した銘柄を買うことができるのが特徴だ。dポイントとの連携後は、新規口座のおよそ8割を20~40代が占めるという。公開記事は現在1300を超え、閲覧数とともに利用者を順調に伸ばしている。

■ポイント活用の解説動画をまねる投資も

楽天証券は、楽天(4755)経済圏で獲得したポイントを使った投資の窓口を提供する。新型コロナ禍の影響を受けたネット証券の利用増加を追い風に口座開設数の伸びが加速。証券口座数は12月15日に500万口座に達した。同証券では投資信託を購入する人の7割超が楽天ポイントを活用している。

利用者が多い楽天ポイントは、ため方やお得な使い方を解説する動画がネット上に多い。最近はポイント活用術のひとつとしてポイント投資をとりあげる動画も増加。経験が浅い投資家には、動画内容をそのまままねて投信などを購入する例が出てきている。

【主なポイントサービスと証券会社】

  楽天ポイント Tポイント dポイント Pontaポイント
ポイント会員数 1億1780万人
(20年9月末)
7072万人
(20年11月末)
7815万人
(20年9月末)
9850万人
(20年11月末)
証券会社 楽天 SBIネオモバイル SMBC日興 auカブコム
投資対象 投資信託
国内株式
バイナリーオプション
国内株式
FX
国内株式 投資信託
利用単位 1ポイント以上
1ポイント単位
1ポイント以上
1ポイント単位
100ポイント以上
100ポイント単位
1ポイント以上
1ポイント単位

(各社の公表情報をもとに日経QUICKニュースがまとめた)

■人気は高配当銘柄、課題は次の一歩

ポイント投資をする人にはどのような銘柄が人気なのか。ポイント投資サービスを提供する証券各社に聞くと、商社などの高配当銘柄との回答が目立つ。ある国内証券のストラテジストは「日常の生活でたまるポイントを1万円分投資した場合、高配当の商社株なら配当として現金で年に数百円もらえるため『お得感』が働くのではないか」と分析する。

米国株を対象にした投資信託も人気が高い。投資初心者でも自らSNS(交流サイト)などで情報を集め、米国株も視野に投資先を選んでいるという。

ポイント投資家が増えるにつれ、ポイント活用で投資家デビューを果たした人々が次の段階に進むうえでの課題も意識されるようになった。楽天証券アセットビジネス事業部の松井巴香リーダーは「ポイント投資家のニーズが単一ではない」点に難しさがあると説明する。顧客の投資行動を分析し、次なる投資につなげたいと話す。

「日興フロッギー」を提供するSMBC日興は、企業との協業でファン株主の育成を目指す。NTTドコモが提供する「ポイントボーナスチケット」を10月に導入した。日興フロッギーで対象企業の株を買うと、特別クーポンが届く。そのクーポンを使い、店舗で対象企業の指定商品を購入するとdポイントが得られる仕組みだ。消費と投資が互いにつながる循環を生み出したい考えだ。

Tポイントで株を購入できるサービスを19年4月に開始したSBIホールディングス(8473)傘下のSBIネオモバイル証券では、投資家がポイントに加えて自己資金を持ち出す例も増えている。口座数が伸びているにもかかわらず、株式売買でポイント利用が占める比率は「足元で17%程度に下がった」(広報担当者)。同比率は19年4月時点で58%あったが、月を追うごとに低下しているという。

ポイント投資が新たな投資家層を開拓したとはいえ、1900兆円にも上る国内家計の金融資産の規模からすると、投資家の動きには拡大余地が大きい。懐を痛めず、気軽な気持ちで始めたポイント投資で成功体験を得る投資家が増えれば「貯蓄から投資へ」の流れを加速させる原動力になるかもしれない。

著者名

QUICK Market Eyes 中山 桂一

2008年QUICK入社。13年に日本経済新聞社商品部(当時)に出向し記者職に就く。その後も日経QUICKニュース(NQN)社やQUICKデリバティブズコメント、エクイティコメントでマーケットの最前線でプロ向けの執筆業務に携わる。


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