2020年12月末時点の国内公募投資信託の純資産総額(残高)はQUICK資産運用研究所の推計で139.43兆円(前月末比3.71兆円増)となり、2カ月連続で過去最高を更新した(図表)。日経平均株価が約30年4カ月ぶりの高値になるなど、世界の株式相場が堅調だったことで運用益が増加した。
■年間増加額は16兆円、ETFの増加が際立つ
国内公募投信の残高は19年末時点(123.17兆円)と比較して1年間で約16兆円増加。コロナショックのあった3月に一時的に大きく減少したが、年後半にかけての世界の歴史的な株高で急回復した。
内訳を見ると、ETF(上場投資信託)の増加が際立っている。ETFの残高は20年末時点で過去最高の54.81兆円となり、1年間で11.46兆円増加した。このうち日銀の保有分は、簿価ベースで35.30兆円(日銀「営業毎旬報告」参照)にのぼり、含み益を考慮した時価ベースでは40兆円を優に超えているものと推測される。
■ファンド本数は緩やかな減少傾向続く
ファンド本数に目を転じてみると、緩やかな減少傾向が続いている。19年末時点では6000本を超えていたが、年間で121本減少し、20年末には5913本となった。減少傾向が続いている背景には、残高の少ないファンドが繰り上げ償還していることに加えて、コロナ禍で新規設定が減少したことなどが挙げられる。ただ、長期で見ると小規模なファンドの乱立などで高止まりしており、非効率な運営構造の解消には時間を要しそうだ。
(QUICK資産運用研究所=石井輝尚)