QUICK資産運用研究所が2020年11月に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」。4回目は金融商品の保有状況についてまとめた。
■20~40代の投資家、コロナショックは「チャンス」
新型コロナウイルス感染拡大をきっかけに世界の金融市場が大荒れとなった2020年の「コロナショック」。投資信託を保有している人に対し、基準価額の下落をどのように感じたか聞いたところ、全体では「期待と不安が入り交じった心境だった」が28.9%で最も多かった。「特に何も感じなかった(基準価額の上げ下げに関心がなかった)」が27.2%で続いた。
年代別では受け止め方に大きく差が出た。20代は「利益を増やすチャンスが来たと思った」の回答が最も多く、38.6%を占めた。20~40代までは「このまま投資を続けて大丈夫か不安になった」割合よりも、「チャンス」との受け止めが多かった。年代が高くなるにつれ、「チャンス」と捉えた割合が少なくなった。
■コロナ禍契機に投資を始めた人も 若年層が中心
これまで投資をしていなかった人を対象に、コロナショックを受けて投資行動を取ったか質問したところ、全体では「何もしなかった(投資行動をしなかった)」が92.8%と大半だった。ただ、少数派ながら、若年層を中心に投資に一歩踏み出した人もいた。
年代別に見ると、コロナショックをきっかけに「資産運用を始めた(投資商品を購入した)」割合が最も大きかったのは20代の9.2%で、30代が4.5%、40代が4.4%と続いた。投資商品の購入には至らなかったものの、証券口座を開設した割合も若いほど多い結果となった。
■20代の投資家3割が追加投資に動く コロナで
コロナショックが起こる前から投資をしていた人にどう行動したか聞いたところ、若い人ほど敏感に反応したことがわかった。20代は投資総額を「増やした」が33.1%にのぼった。「減らした」が11.9%、「投資をやめた」が5.6%で、どの回答も他の年代より多かった。
全体では「何もしなかった(コロナショック前と後で投資行動に変化がなかった)」が69.6%を占めた。60代までは投資総額を「増やした」割合が「減らした」「やめた」を上回った。
■コロナ下の運用成績、「含み益増加」が4割
投資信託の保有者を対象にコロナショック後の運用成績をたずねると、41.7%が「含み益が増えた」と回答した。「変化なし」は35.0%で、「含み損が増えた」は23.3%にとどまった。
冬になって新型コロナウイルスの感染が再び拡大しているが、2020年11月に日経平均株価は29年ぶりの高値まで上昇し、米国では複数の株価指数が史上最高値を更新するなど相場環境は改善した。コロナショックで落ち込んだ運用成績が回復に向かい、含み益を増やすことができた投資家もいたようだ。
<調査概要>
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調査期間 2020年11月27日(金)~30日(月)
調査対象 全国の20~74歳の個人
国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を割付け
回答者数 5075人
調査方法 インターネット調査
調査会社 日経リサーチ
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=続く
※「個人の資産形成に関する意識調査」を引用する場合、出所を「QUICK資産運用研究所」と明示してください。
(QUICK資産運用研究所)