少額投資非課税制度(NISA)の見直しをめぐり、政府・与党で詳細についての議論が大詰めを迎えている。12月中にまとまる2023年度与党税制改正大綱に盛り込まれ、恒久化した新しい制度が24年1月に始まる見込み。投資枠上限や対象商品など詳しい内容はまだ不明だが、QUICK資産運用研究所が11月下旬に実施した意識調査では、制度拡充に期待している個人が多いことがわかった。
■利用している人・していない人に分けて質問
QUICK資産運用研究所では、毎年この時期にインターネット経由で「個人の資産形成に関する意識調査」をしている。16年に開始し、7回目となる今回は22年11月25~30日に調査を実施。日経リサーチを通じてアンケート調査を行い、5075人から回答を得た。
NISAの拡充についての質問は、現在NISA制度(一般・つみたて・ジュニア)を利用している人と、利用していない人に分けて聞いた。最初に利用している人から得られた回答についての集計結果を見ていく。
質問内容は「NISA制度が拡充された場合(恒久化や年間投資枠拡大など)、あなたはどのようにNISAを利用しますか」というもの。選択肢は「NISAの利用額を増やす」「NISAの利用額を変えずに続ける」など5つの中から一つだけ選んでもらった。
■「利用額を増やす」は53.0%、若い世代が積極的
回答者はNISAを現在利用している1379人。このうち制度が拡充された場合に「利用額を増やす」と回答した割合は53.0%にのぼった(図1-a)。33.0%は「利用額を変えずに続ける」と回答し、「利用額を減らす」「利用をやめる」の合計は1.4%にとどまった。
年代別に見ると、比較的若い世代でNISA制度の利用に積極的な傾向がある(図1-b)。「利用額を増やす」と回答した人が多かったのは、30代(59.7%)と40代(56.0%)だった。18~29歳は49.7%とやや低めだったが、「利用額を変えずに続ける」が35.4%と全体よりも高かった。
また、世帯の年収別を「図1-c」、金融資産別を「図1-d」にまとめた。年収・金融資産が多くなるほど、「利用額を増やす」の回答割合が多くなる傾向となった。該当する回答者の絶対数が少ない影響かもしれないが、どちらも最上位の年収2000万円以上、金融資産5億円以上はその割合が全体よりも低かった。
■NISA普及、一気に進む可能性も
続いて、NISA制度を利用していない人(3696人)に対する調査結果を見ていく。NISA制度が拡充された場合に「NISA制度を利用したいか」質問したところ、18.7%(690人)が「利用したい」と回答した(図2-a)。
結果通りに未利用者の2割弱が実際に利用を始めるとどうなるか。ざっくりとした試算だが、現在NISA制度を利用している人(1379人)との合計が2069人まで積み上がり、全体(5075人)の40.8%を占めるようになる。今回調査時点の27.2%から跳ね上がり、NISA制度の普及が一気に進む可能性を示唆している。
この質問で最も多かった回答は「わからない」の47.7%。当局が新しいNISA制度を使いやすくバージョンアップできるかどうかで、この「浮動票」の動向がある程度左右されそうだ。「利用したくない」も33.6%を占めている。
■「利用したい」、若年層で意欲高く
年代別で「利用したい」と回答した割合をみると、若年層の意欲が高い(図2-b)。18~29歳が24.6%、30代が24.7%と高く、40代も21.9%と2割を超えた。NISAが拡充された場合には、若年層から働き盛りの中年層の利用増が見込めそうだ。
年収別では「400万円~500万円未満」、金融資産別では「300万円~500万円未満」の階層を境に「利用したい」の回答割合が2割を超える(図2-c、図2-d)。