資産形成・資産運用への意識が高まるなか、実際に行動に移す人も増えてきた。QUICK資産運用研究所が2021年11月下旬~12月初旬に実施した「個人の資産形成に関する意識調査」によると、元本保証のない金融商品を保有している人の割合が2年連続で増えた。同じ質問内容で比較できる直近3回のうち、2019年調査が30.6%、20年が31.4%で、21年は前年から1.7ポイント増えて33.1%だった。
具体的にどんな金融商品を保有しているか聞いたところ(複数回答、元本保証付きも含む)、21年は「定期性預貯金」が41.5%で最も多く、「国内株式」(25.0%)、「投資信託」(19.4%)が続いた。同じ質問の回答を18年調査と今回で比べてみると、伸びが最も大きかったのは「投資信託」で、3年前より3.9ポイント増えた。このほか、「外国株式」が1.8ポイント、「国内株式」が1.6ポイント、ビットコインなどの「暗号通貨」も1.4ポイント伸びた。その一方で、「定期性預貯金」は3年前より8.0ポイント減少し、安全資産からリスク資産への資金の流れが見て取れる。
年代別にみると、「定期性預貯金」や「国内株式」、「投資信託」といった代表的な金融商品は年代が高いほど保有割合が多い傾向にある。それ以外に60代以上のシニア層でほかの年代より多かったのは「個人向け国債」や「その他債券」、「ラップ口座(ファンドラップなど)」だった。一方、20~30代の保有割合のほうが多いのは「外国株式」や「暗号通貨」、「投資一任型のロボアド(ロボアドバイザー)」。若い世代ほど成長性を見込んで海外の個別株に投資したり、スマートフォン(スマホ)などで手軽に取引できるサービスを利用したりしている。
投資信託を定時定額で積み立て投資する動きも広がっている。投資信託を保有している人のうち、積み立てで購入している人の割合が6割近くにのぼることがわかった。3年前の18年調査(42.5%)と比べて増加した。積み立て投資をしている人の割合は、「投信を積み立てで購入していますか、一括(積み立て以外)で購入していますか」との質問に対し、「積み立てのみ」または「積み立ても一括投資もしている」の回答を合計したもの。21年の今回調査では「積み立てのみ」が32.3%、「積み立ても一括投資もしている」が27.0%だった。
年代別で積み立て投資をしている人の割合が最も高かったのは30代の82.1%。18年調査の62.0%から大きく伸びた。特に「積み立てのみ」は18年の37.9%から52.6%へと増加が目立った。3年前と比べた変化幅が最も大きかったのは60代で、積み立てを利用している人の割合が24.5%から45.0%に跳ね上がった。60代は積み立て投資と一括投資を併用している割合が31.0%(21年調査)と高い。
保有資産額別にみると、資産額が少ない人ほど「積み立てのみ」で投資信託を購入している割合が高い傾向にある。資産額が多い階層では「5000万円~1億円未満」と「1億円~2億円未満」で「一括投資のみ」の割合が過半を占め、ほかの階層と比べて高かった。資産額が2億円以上の富裕層・超富裕層はサンプル数が極端に少なく、どこまで実態を反映しているかに課題はあるが、今回調査では一度にまとまった金額を投資する「一括投資のみ」の割合よりも、積み立て投資を利用している割合のほうが高かった。
投資信託を積み立てている人に対し、商品選びで重視することを聞いたところ(複数回答)、投資経験が浅い人とベテランとで違いが出た。投資を始めて1年未満の「投資初級者」が重視することの1位は「過去の運用実績」だったのに対し、投資経験が10年以上の「ベテラン」は1位が「値上がり期待」、2位が「手数料や信託報酬の水準」だった。
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<調査概要>
調査期間 2021年11月26日(金)~12月1日(水)
調査対象 全国の20~74歳の個人
国勢調査の結果に準じて性別×年代別×地域別(8区分)の構成比率を割付け
回答者数 5075人
調査方法 インターネット調査
調査会社 日経リサーチ
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(QUICK資産運用研究所)
=③に続く