【QUICK Market Eyes 阿部哲太郎、大野 弘貴】「パワー半導体」銘柄への物色が鮮明となっている。QUICKが選定する21銘柄の1月14日までの過去5営業日平均の上昇率は8.59%と、同期間の東証株価指数(TOPIX)の4.29%を上回って推移している。
脱炭素や電気自動車(EV)普及への期待が高まる中で、省エネや電流の流れを安定させるパワー半導体関連銘柄が物色されている。
上昇率トップは、自動車向けマイコンに強みをもつルネサスエレクトロニクス(6723)だ。自動車市況の回復や在庫水準の低下で車載半導体の不足が顕著になっている。ルネサスは電源向けのアナログ半導体やパワー半導体を手掛けており、自動車の電装化による業績の拡大が期待されている。富士電機(6504)は、車載パワー半導体に投資を続けている。EVメーカーなどに向け、小型で高効率のパワー半導体モジュール(複合部品)の新規採用が広がっている。
パワー半導体は、次世代のSiC(炭化ケイ素)、GaN(窒化ガリウム)などの化合物半導体も需要が見込まれている。サムコ(6387)は、他の製造装置メーカーがあまり手掛けていない化合物半導体の製造装置を強みとしている。
■パワー半導体のテーマ株はコチラ
パワー半導体は大きな電力を扱える半導体で、CPUなどの頭脳ではなく、筋肉と例えられる半導体である。電気自動車や昨今の脱炭素社会では、電力消費の効率化技術が必要不可欠となっている。世界の電力の55%はモータに使われる言われているほど。パワー半導体関連企業に注目しておきたい。
コード | 銘柄名 | 5営業日の騰落率(14日時点) | 時価総額(億円) |
6723 | ルネサス | 15.43% | 21,983 |
6125 | 岡本工 | 14.79% | 126 |
8068 | 菱洋エレク | 14.77% | 933 |
6707 | サンケン電 | 13.62% | 1,264 |
6976 | 太陽誘電 | 13.30% | 7,044 |
6890 | フェローテック | 13.12% | 728 |
4004 | 昭電工 | 12.28% | 3,557 |
6762 | TDK | 11.58% | 21,978 |
5802 | 住友電 | 10.87% | 11,385 |
8035 | 東エレク | 10.40% | 67,820 |
6338 | タカトリ | 9.75% | 39 |
6504 | 富士電機 | 9.17% | 5,986 |
6387 | サムコ | 7.62% | 314 |
4063 | 信越化 | 7.52% | 78,478 |
6503 | 三菱電 | 7.37% | 34,795 |
6146 | ディスコ | 6.73% | 13,456 |
6728 | アルバック | 3.52% | 2,341 |
6502 | 東 芝 | -0.23% | 13,371 |
6902 | デンソー | -1.95% | 46,189 |
7282 | 豊田合 | -2.05% | 3,688 |
6943 | NKK | – | 31 |
平均 | 8.59% | ||
TOPIX | 4.29% |
※他にはどんなテーマ株があるの?詳細はコチラ
半導体関連株への視線は熱い。野村証券は14日付の半導体製造装置リポートで、台湾積体電路製造(TSMC)関連企業への強気スタンスを確認したという。同日、TSMCが発表した2021年に250~280億ドルの設備投資計画を受けたもの。TSMCが最大顧客となっているSCREENホールディングス(7735)やTSMCが大口顧客となっている東京エレクトロン(8035)、アドバンテスト(6857)、東京精密(7729)、ディスコ(6146)などが挙げられている。
野村証券はファウンドリを含むロジック向けの21年の半導体設備投資が前年比5%増と予想し、TSMCの半導体設備投資が半導体設備投資市場を牽引するという見方を維持している。