国内公募の追加型株式投資信託(上場投資信託=ETF、DC専用、投資一任専用、ブル・ベア型を除く)について2020年の年間リターンをまとめたところ、プラスのリターンを確保できたのは全体の約6割だった(図表1)。コロナ禍で各国が緊急経済対策や大規模な金融緩和を打ち出し、年後半に世界の株式相場は歴史的な水準に上昇したが、残りの約4割はプラスに戻せなかった。
■リターン100%超は3本
個別にリターン上位10ファンドをランキングにしてみると、大半は海外株式で運用するファンドだった(図表2)。1位の「グローバル・プロスペクティブ・ファンド(愛称:イノベーティブ・フューチャー)」のリターンは125%となるなど、100%を超えたファンドが3本あった。
1、2、4、7、8位のファンドに共通するのは、組み入れ上位に米テスラ(TSLA)が入っていたことだ。1年で約9倍になったテスラ株の組み入れが高いリターンの実現に寄与した。ただし、上位10本中7本は設定からの運用期間が3年未満と短く、ファンドを選ぶ際に参考とすべきトラックレコード(運用実績)が十分とは言いにくい。
■REIT、MLP関連は回復途上
一方、リターン下位は国内外の不動産投資信託(REIT)やMLP(マスター・リミテッド・パートナーシップ)などを投資対象とするファンドが多数を占めた(図表3)。REITやMLPはコロナショックにより大きく値下がりし、その後も株式と比べて戻りが鈍く、回復の途上にある。また、通貨選択型のブラジルレアル建てのファンドも厳しい年間成績となった。