【日経QUICKニュース(NQN) 秋山文人】米財務省が1月19日発表した2020年11月の国際資本統計の対米証券投資によると、米国株式や債券などへの純流入額は1491億7200万ドル(約15.5兆円)だった。14年9月以来、6年2カ月ぶりの高水準。米大統領選でバイデン氏が勝利し、大規模な経済対策が実施されるとの期待から株式を中心に幅広い証券に米国外からのマネーが流入した。
■米国株は7カ月連続で流入超
米国への資金の出入りを差し引いた純流入額。米国株は619億3200万ドルで、10月の2.6倍だった。5月以降、7カ月連続で流入超になっている。11月の米株式市場ではダウ工業株30種平均が最高値の更新を続けた。バイデン次期政権の経済政策への期待感から景気敏感株を中心に株価の上昇が続いた。
米国債は96億4600万ドルの流入超。米金利は緩やかに上昇していたが、20年前半に強まっていた売りは鳴りを潜めている。中国は6カ月ぶりに保有残高を増やした。一方、日本は4カ月連続で残高を減らした。
■バイデン政権の経済政策に期待
米大統領選を機に新たな投資機会を探る動きもある。環境政策が重視されるとの見方から環境関連上場投資信託(ETF)に資金が流入。QUICK・ファクトセットによると、米ブラックロックの「iシェアーズ・グローバル・クリーンエネルギー」への流入額は11月、国内外の合計で6億7300万ドルと、10月の2.8倍に膨らんだ。
野村証券の高田将成クロスアセット・ストラテジストは11月のマネーフローについて「夏場以降、停滞していたヘッジファンドなどのマネーが大統領選を契機に動き出したタイミング」だったと指摘する。そのうえで、今回のデータからうかがえる今後の相場のポイントとして、「出遅れていた中長期の投資家が株式などのリスク資産を買わなければならない環境が今後続くだろう。『米金利高+株高』が投資テーマになる」と話した。