【日経QUICKニュース(NQN) 菊池亜矢】2月4日の東京株式市場でソニー(6758)株が大幅続伸し一時、前日比10.9%高の1万1790円まで上昇した。3日に2021年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比86%増の1兆850億円になりそうだと発表した。2年ぶりに過去最高を更新し、初めて1兆円を超える見込みだ。決算内容を担当アナリストはどうみているのか、リポートをまとめた。
■今後は成長がスローダウン
岡崎優・野村証券リサーチアナリスト
投資判断=3段階で真ん中の「ニュートラル」
目標株価=1万1000円
巣ごもり需要の拡大によるゲームの上振れは、コンセンサスよりも強気な野村予想に対してはおおむねインライン(想定に沿ったもの)である。一方で、イメージセンサー、デジタルカメラ、動画コンテンツなどを中心に、ゲーム以外の好調が我々の想定を上回った。ただし、各セグメントともに在宅特需の好影響に支えられている面があるため、今後、業績成長がスローダウンするという我々の見方を変更する必要はないだろう。次期中期計画では、成長ステージをさらに一段上へ引き上げていくための、コンテンツやテクノロジーの戦略アップデートが注目。
■コロナ禍で実力値が向上
栄哲史・大和証券アナリスト
投資判断=5段階で最上位の「1(買い)」
目標株価=1万1400円
対大和予想でみると、全てのセグメントが上振れした。通期会社計画も上方修正された。新型コロナ禍での実力値向上などを考慮して22年3月期以降の大和予想もある程度見直していく必要があるだろう。結局、新型コロナ禍でも利益成長を続けることができる企業として、一層評価が高まっていくだろう。今春には新中期経営計画も公表される予定。
■PS5の初期費用をカバー
小宮知希・三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニアアナリスト
投資判断=3段階中で最上位の「オーバーウエート」
目標株価=1万2300円
株価に与える影響はポジティブと考える。理由は①3Q(20年10~12月期)実績、上方修正された通期会社計画はともに市場予想を大きく上回った ②G&NS(ゲーム&ネットワークサービス)では、PS5発売期による初期マーケティング費用を、ネットワークサービスやソフトでカバーし増益、通期計画も引き上げるなど、収益構造が安定的に変化している、など。