ここ数年、株主数は増加傾向
「当社の優待品は、選択肢が多いことが売りです」と語るのは、キリンホールディングス コーポレートコミュニケーション部 兵頭俊昭主査。実際に制度を確認すると、自社グループ商品をはじめ、食事券やサッカーの応援グッズなど多岐にわたる。
株主優待制度の導入は2003年、1000株以上保有の株主を対象にスタートした。「株主様の日々の支援に応え、キリングループをさらに身近に感じていただきたいという思い」(コーポレートコミュニケーション部 永田知子氏)で実施している。
2014年4月、単元株数を1000株から100株に変更したことにあわせて、株主優待の対象に100~1000株のコースを追加。投資しやすくなったことから単元株保有の株主数は、ここ数年増加傾向にあり、直近で、199,193人(2020年12月末)となった。
株主優待で、既存事業と「ヘルスサイエンス事業」を知ってもらう
キリンといえば、ビールのイメージが強い。そのほかに、事業会社のキリンビバレッジでは飲料品、メルシャンではワイン、協和キリンでは医療用医薬品の製造・販売を手掛けている。
「当社では、長期経営構想『キリングループ・ビジョン2027』を策定し、既存事業の「食領域」(酒類・飲料事業)と「医領域」(医薬事業)に加え、「ヘルスサイエンス事業」の立ち上げに取り組んでいます。株主優待は、それらを知ってもらうきっかけにつながると考えています」(コーポレートコミュニケーション部IR室 山﨑大護主査)と話す。
株主優待品は、自社グループ商品を紹介する場
株主優待品の選択肢は豊富だ。
キリングループ各社商品として、「キリンビールギフト」「キリンビバレッジ商品詰め合わせ」「メルシャンワイン詰め合わせ(1000株以上の株主のみ)」を提供している。2020年12月期は、健康志向の高まりから「キリンビールギフト」に「キリン一番搾り 糖質ゼロ」を加えた。
生産者の想いに“ひと手間”加えたおいしさをお届けするビアレストラン「キリンシティ」で使える食事券も人気が高い。
また、サッカー日本代表オフィシャルパートナーであることから、「サッカー日本代表応援グッズ」も魅力的。これは2004年から提供しており、タオルマフラー、Tシャツ(1000株以上の株主のみ)は、株主優待限定のオリジナルデザインだ。「毎年、デザインを変更しています。株主様の中には、応援グッズをコレクションしている方がいると聞いています」(永田氏)。
前期(2019年12月期)からは、「機能性表示食品」の選択肢を追加した。今期は、免疫で日本初の機能性表示食品「キリンiMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント」、「キリンiMUSE professional プラズマ乳酸菌サプリメント(1000株以上の株主のみ)」を提供している。この商品は、キリングループが取り組む「ヘルスサイエンス事業」から生まれたものだ。
また、「飲酒運転事故被害者支援募金への寄付」も選択できる。「毎年、一定の株主様にご選択いただいております」(永田氏)ということで、社会貢献することが可能だ。
また、全株主を対象に、キリン オンラインショップDRINX(ドリンクス)で使える割引クーポンを提供している。「DRINX(ドリンクス)は、こだわりの商品をラインアップした通販サイトです」(山﨑氏)という。
簡易包装による環境に配慮した取り組みも
株主優待について、優待品のラインアップ拡充以外に、さまざまな取り組みを行っている。
環境に配慮した取り組みとして、前期から優待品の発送に際し、包装紙をやめ、簡易包装に変更した。
また、株主優待の申込受付方法を改善した。従来、ハガキのみだったが、2018年から「株主様ご優待専用サイト」を設け、Webによる申し込みも可能にした。「株主様から『株主優待品のWeb申込は便利で良い』と感謝のメールをいただきました」(永田氏)と手ごたえを感じている。
キリンホールディングスは、株主優待品で自社グループの商品・サービスをラインアップすることで、株主に事業を知ってもらう機会へつなげている。
≪対象株主≫
毎年12月31日現在、当社株式を単元株数(100株)以上保有する株主。
[キリングループ商品等の優待品]
100株以上1,000株未満 1,000円相当
1,000株以上 3,000円相当
~2020年12月期優待 (1)~(7)より選択~
(1)キリンビールギフト
(お届け予定日:4月中旬~6月下旬)
(2)キリンビバレッジ商品詰め合わせ
(お届け予定日:5月中旬~6月下旬)
(3)メルシャンワイン詰め合わせ
(お届け予定日:4月中旬~6月下旬)
(4)機能性表示食品
(お届け予定日:5月中旬~6月下旬)
(5)キリンシティ食事券
(お届け予定日:5月下旬~6月下旬)
(6)サッカー日本代表応援グッズ
(お届け予定日:5月下旬~6月下旬)
(7)「キリン飲酒運転根絶募金」への寄付
※財団法人交通遺児等育成基金へ寄付
≪100株以上1,000株未満の株主≫
(1)一番搾り詰め合わせセット(合計4本)
(2)清涼飲料の詰め合わせセット(合計7本)
(3)100株以上1,000株未満の株主はなし
(4)キリンiMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント
(5)1,000円相当(1,000円×1枚)
(6)SAMURAI BLUE オリジナルグッズ
(タオルマフラー) 株主限定オリジナルデザイン
(7)1,000円を寄付
≪1,000株以上の株主≫
(1)一番搾り詰め合わせセット(合計12本)
(2)清涼飲料の詰め合わせセット(合計18本)
(3)ドメーヌ・カズ カノン・デュ・マレシャル
ルージュ/ブラン(各1本 合計2本)
(4)キリンiMUSE プラズマ乳酸菌サプリメント
キリンiMUSE professional プラズマ乳酸菌サプリメント
(5)3,000円相当(1,000円×3枚)
(6)SAMURAI BLUE オリジナルグッズ
(タオルマフラー+Tシャツ) 株主限定オリジナルデザイン
(7)3,000円を寄付
※対象株主には、3月上旬に、「定時株主総会招集ご通知」とともに、株主優待の案内と申込書を送付。案内チラシを確認し希望の品を申込書にて郵送、または専用Webサイトより申込むこと。
※株主名簿に登録している住所へ送付。申込みした株主には、4月~6月に送付するが、優待品により送付時期は異なる。
※未成年の株主は、アルコールを含む優待品を選択することはできない。申込書に、年齢記入欄を用意しているため、申込み時に記入すること。
※優待品は、期限内に申込みをした株主のみに送付とする。案内チラシにて締め切り日の確認をすること。
ビール系飲料大手。有力メーカーへの資本参加による酒類の海外展開や、清涼飲料、医薬など事業の多角化を推進。ファンケルとの資本業務提携を締結。
主力ブランドは、ビールの「一番搾り」、発泡酒の「淡麗」、新ジャンル(第3のビール)の「のどごし〈生〉」、缶チューハイの「氷結」など。子会社のメルシャンでワインも扱う。キリンビバレッジを通じて清涼飲料も展開。主力ブランドに「午後の紅茶」や緑茶飲料の「生茶」等がある。海外ではオセアニアや中国等で事業を展開。子会社の協和キリン(4151)を通じて医療用医薬品の製造・販売も手掛ける。
<売上構成>(20/12期連結、外部顧客への売上収益): 国内ビール・スピリッツ(キリンビールなど)35%、国内飲料(キリンビバレッジ)14%、オセアニア綜合飲料(ライオン社)16%、医薬17%、その他18%(国内ワイン、ミャンマー酒類、北米飲料、バイオケミカル等)。オセアニア綜合飲料は一部事業を売却し、21/12期よりオセアニア酒類に名称を変更。
1907年、麒麟麦酒(現キリンホールディングス)設立。28年、清涼飲料製造開始。63年、自動販売機サービス(現・キリンビバレッジ)設立。72年、キリン・シーグラム(現・キリンディスティラリー)設立。76年、小岩井乳業設立。2006年、メルシャンを連結子会社とする。07年、純粋持株会社制を導入し、現社名に商号変更。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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