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Goal12「つくる責任 つかう責任」―SDGsの今を知る

記事公開日 2021/4/20 11:00 最終更新日 2021/12/7 15:28 SDGs サステナブル 環境 SDGsの今を知る

SDGsの今を知る VOL.13 クラウドクレジット編集部

SDGs(持続可能な開発目標)17のゴール(目標)。その項目の12個目に掲げられているのが「つくる責任 つかう責任」です。SDGsでは、2030年までに持続可能な生産消費形態を確保することを目指しています。従来から廃棄物や汚染を減らし、できる限り無害にすることには目が向けられていましたが、現在ではさらに踏み込んでサプライチェーン全体で環境に配慮した取り組みを実施することが奨励されています。

※SDGsアイコン「12.つくる責任 つかう責任」

SDGs「12. つくる責任 つかう責任」は「持続可能性(サステナビリティ)」がキーワード

“Sustainable Consumption and Production”、略してSCPは、化石燃料の可採年数問題や地球温暖化問題、経済開発に伴う自然破壊問題などにおける議論の解決策として以前から注目されていました。SCPに関連する課題や目標は多くありますが、SDGsにおいては天然資源の管理、食料廃棄の削減、環境汚染防止、経済開発と自然保護の両立などをターゲットとして盛り込んでいます。

「12. つくる責任つかう責任」に付随する11個のターゲットのうち、「持続可能な(サステナブル)」というキーワードが含まれたものは7個あります。このことから、SDGsを構成する17のゴールの中でもとくに「持続可能性(サステナビリティ)」に重点をおいた目標といえます。

SDGs「12. つくる責任つかう責任」に紐づけられる11個のターゲット

SDGsでは、17のゴールの各々に紐づけられる169個のターゲットを定めています。「12. つくる責任つかう責任」のターゲットは以下の11個になります。

12-1 開発途上国の開発状況や能力を勘案しつつ持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)を実施し、先進国主導の下、すべての国々が対策を講じる。
12-2 2030年までに天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を達成する。
12-3 2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる。
12-4 2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質やすべての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。
12-5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。
12-6 特に大企業や多国籍企業などの企業に対し、持続可能な取り組みを導入し、持続可能性に関する情報を定期報告に盛り込むよう奨励する。
12-7 国内の政策や優先事項に従って持続可能な公共調達の慣行を促進する。
12-8 2030年までに、人々があらゆる場所において、持続可能な開発及び自然と調和したライフスタイルに関する情報と意識を持つようにする。
12-a 開発途上国に対し、より持続可能な消費・生産形態の促進のための科学的・技術的能力の強化を支援する。
12-b 雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業に対して持続可能な開発がもたらす影響を測定する手法を開発・導入する。
12-c 開発途上国の特別なニーズや状況を十分考慮し、貧困層やコミュニティを保護する形で開発に関する悪影響を最小限に留めつつ、税制改正や、有害な補助金が存在する場合はその環境への影響を考慮してその段階的廃止などを通じ、各国の状況に応じて、市場のひずみを除去することで、浪費的な消費を奨励する、化石燃料に対する非効率な補助金を合理化する。

出所:外務省HP資料に基づいてクラウドクレジット作成

地球環境問題についての歴史的経緯

地球温暖化問題や食糧危機問題、エネルギー問題などの「地球環境問題」は、1972年にローマクラブというシンクタンクが提出した「The  Limits  to  Growth(成長の限界)」というレポートが契機となって世界中で議論されるようになりました。このレポートは、コンピューターシミュレーションを使用して人口や産業、食料などの増減の推移を予想したもので、当時のペースで人口増加や環境汚染が続くことについて警鐘を鳴らしています。それまでは、各国が地域ごとの公害対策や環境対策を中心に取り組んでいましたが、それだけでは不十分であり、地球全体で環境保全を実施する取り組みの必要性があることが明らかにされました。

その後、1980年代に熱帯林の破壊、オゾン層の破壊、地球温暖化問題などが深刻化したことで、国際会議の開催や研究が進められ、1992年にはブラジルのリオデジャネイロにて「国連環境開発会議」(UNCED、「地球サミット」)が開催されました。この会議では、国際的な行動計画である「アジェンダ21」が採択され、法的な拘束力はないものの、国際的な協力の姿勢が明文化されています。さらにその後も、しばしば国際会議で解決に向けた協調について議論されるなか、2012年には再度ブラジルのリオデジャネイロにて「国連持続可能な開発会議(リオ+20)」が開催されました。この会議によって環境に優しい経済成長を意味する「グリーン経済」の重要性が認知されるようになっています。この時に採択された持続可能な社会を実現するための10年計画が、ターゲット12-1に記載されている「持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組み(10YFP)」です。

こうした国際的な流れに基づき、現在では多くの企業が持続可能(サステナブル)な事業運営に注力しその活動を報告しています。企業が持続可能性(サステナビリティ)を重視する理由は以下のように3つあると考えられます。

①事業継続において長期的なメリットがある
 ②企業にお金を出す投資家が持続可能性(サステナビリティ)を重視している
 ③消費者も持続可能性(サステナビリティ)を気にしている

持続可能性(サステナビリティ)を重視するという姿勢は、新しい時代の常識になりつつあります。

 

(月1回配信します)

写真=Linh Pham/Getty Images


クラウドクレジット株式会社 :「日本の個人投資家と世界の信用市場をつなぐ」をコーポレートミッションとして掲げ、日本の個人投資家から集めた資金を海外の事業者に融資する貸付型クラウドファンディングを展開。新興国でのインフラ関連案件も多く、現地のマクロ・ミクロ経済動向などに詳しい。累計出資金額約358億円、運用残高約147億円、ユーザー登録数約5万人(2021年4月11日時点)

 

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