金融庁と東京証券取引所は6月にコーポレートガバナンス・コード(CGコード、企業統治指針)を改訂した。3分の1以上の独立社外取締役の選任、女性や外国人などの管理職登用、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の枠組みに沿った情報開示など、新たな指針が複数並んだ。CGコードの策定は、アベノミクスの一環として始まったガバナンス改革の柱で、一連の改革で真に問われているのは企業価値の向上だ。
QUICK月次調査<株式>で、改訂したCGコードへの評価を聞いたところ、市場参加者の8割弱が「評価する」と回答した。「改訂自体が劇的な変化をもたらすとはみないが、東証が上場企業に高水準の企業統治を求めたのはプラス要因。古い体質を変えるには外部から圧力をかける必要がある」との声があった。
企業価値を高めるには、アクティビスト(物言う株主)の提案にも耳を傾けるべきか。昨年7月の東芝の定時株主総会が公正に運営されたかを調査した報告書では、同社が経済産業省とアクティビストの口封じに動いたと注目を集めた。この問題が国内外の投資家による日本株への投資行動に「マイナスに影響する」と回答したのは全体の4割で、「変わらない」との見方が5割を占めた。
近年のアクティビストの行動が日本の株式市場におよぼす影響を聞いた質問では、賛否が拮抗した。「企業価値向上やESGの取り組み推進につながる」と回答したのは全体の48%だった。一方で50%が「短期志向が強く企業価値の向上につながらない/自己利益のみを追求し市場の混乱を招く/企業活動を委縮させ、マイナス」と回答した。かつてと比べて評価する声は増えているが、「アクティビストの目的は保有株式の価値最大化。彼らの主張は他のステークホルダーの利益と相反する場合があると理解すべき」(銀行)との声があった。
調査で毎月聞いている日経平均株価の終値予想は、6月調査時点と比べて引き下げられた。7月末の日経平均の予想は28850円で、前回の調査より245円下がった。
■日経平均予想
調査は国内機関投資家の運用担当者など211人を対象に実施し、120人が回答した。調査期間は6月29日~7月1日。