国内債券市場で、海外動向に左右される相場環境が続いている。QUICKが2日に発表した7月のQUICK月次調査<債券>で、最も注目している債券価格の変動要因として「海外金利」を選んだ市場参加者の割合が62%に上昇し、6月調査に続き調査開始以来の最高を記録した。国内では新型コロナウイルスの感染者数が広がっているが、景気動向を注目要因に挙げた回答は8%にとどまった。
海外金利が債券価格にどう影響するかへの見方を反映した指数は40.7に上昇して中立の50に近づいた。指数は50を上回って高くなるほど債券価格の強い上昇要因(金利の低下要因)となり、50を下回って低いほど債券価格の下落要因(金利の上昇要因)としてみられていることを示す。米長期金利が急上昇した今年2月には31.4まで低下していた。海外金利への注目度は高いものの、金利の急上昇を引き起こすとの懸念は後退している。
足元での米国の長期金利の低下要因について聞いたところ、最多の回答は「ポジション調整などの需給動向」が62%だった(複数回答可)。「新型コロナ変異株の感染拡大の影響」も52%と過半数が選択した。「インフレ懸念の後退」は25%で、「その他」を除く7つの選択肢のうち下から2番目にとどまった。米10年物国債利回りの予想平均値は、年末時点で1.58%となった。
国内の新発10年物国債利回りの先行き予想は5カ月連続で低下した。8月末時点の予想は0.028%だった。
今後数年間の債券市場に影響を与えるリスクシナリオとして重要だと思うものを聞いたところ、「強力なコロナウイルス変異株の登場」が37%で最多だった。「新興国の債務問題の深刻化」が21%で続いた。
今年度の第1次補正予算案の規模が真水でどの程度になるかを聞いたところ、回答中央値は10兆円となった。また補正予算に伴い、国債のカレンダーベース市中発行額については63%が小幅に増額されると予想した。
調査は7月27〜29日に実施。債券市場関係者119人が回答した。