【QUICK Money World 辰巳 華世】人生100年時代を迎え、誰もが自分の資産形成を真剣に考える時代が来ています。将来の不安を解消するために早い段階から資金準備をすることが大切です。ただ、資産形成に興味があるけれど、いつから何をすればいいのかがよく分からないという方もいます。今回は資産形成の流れから、各年代にあった資産形成の方法を紹介したいと思います。
資産形成が注目される理由は、将来に対する不安が高まっているからです。寿命が伸びたことで現役を退いた後の老後生活が長くなっています。加えて日本の社会保障制度の未来は不透明です。現状でも公的年金の受給年齢引き上げや後期高齢者の医療費負担が1割から2割になるなど負担が増しており、今後はより厳しくなることが予想されます。そんな時代を生きる私たちは、自助努力で資産形成することが必要です。
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資産形成の流れ:賃金、貯蓄、投資
資産を形成する主な方法は3つあります。「労働収入を得る」、「貯蓄」、「投資」です。「貯蓄」と「投資」は、収入がないとできません。まずは、労働収入をできるだけ多く得ることが大切です。
収入を得たらそのうち、生活費にいくらかかるか、貯蓄や投資にいくら出せるかを把握します。自分の家計を数字として把握することで、無駄がないかを確認し、貯蓄できる金額を増やし、余裕があれば投資にお金を回します。毎月貯金する一定の金額を決め、残りの金額で生活していく方法を考えて実行していくだけでも、資産は増えていきます。
労働収入を得ても貯蓄や投資をする程のお金が毎月ない場合もあるかと思います。その場合は、出費の見直しが必要になります。生活スタイルを変えるなど抜本的な見直しが必要かもしれません。不要な出費を減らし節約することで貯蓄や投資できる金額を増やすことができます。最近では、フリマアプリ「メルカリ」などを通じて不用品などをお金に換えて資産を増やす方法などもあります。実際、利用している人は多いです。中高年利用者の拡大でメルカリ(4385)の2021年6月期の最終損益は上場来初の黒字となりました。
資産形成はいつからでも始めることができます。生活費以外の収入を貯蓄や投資に充てることで資産は毎月積み上がっていきます。
ただし、資産形成を行う「期間」や、投資や積立に回せる「金額」によって、いくら資産形成ができるかが変わってきます。貯蓄は元本保証はあるけれど、金利が低いこともあり資産はほとんど増えません。部分的にでも投資を組み合わせることで効果的に資産を増やすことができます。現在の年齢、資産の状況、目標とする資産に応じて資産形成の方法を選ぶことが大切です。
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年代別におすすめの資産形成の方法
資産形成・資産運用を始めるタイミングは早いに越したことはありませんが、年代別におススメの方法を解説していきます。
20代
労働収入が入り始め、自分でお金を管理し始める世代です。収入はそれほど多くはないかもしれませんが、この時期から資産形成の意識を持つことはとても大切です。収入の中から毎月、少額でも構わないので、一定金額を貯蓄や投資に振り向けましょう。30代から増えるライフイベントに向けて資産形成を始めるのに最適な時期です。
老後までかなりの時間があるため、少額でも個人型確定拠出年金( iDeCo 、イデコ)や少額投資非課税制度(NISA)を活用した積立投資がおすすめです。投資は安い時期に買うことがポイントですが、高い値で一気に買ってしまっては後で後悔してしまいます。積立投資で株価の上下に関わらず、特定の金額を購入することを決めておくことで、価格変動リスクを下げることができます。投資で得た収益を元の投資金額にプラスで追加すると、投資金額が増え複利効果で資産を増やしやすいです。
また老後までの期間が長いため、株式投資といったリスクとリターンが高めの資産に多めに配分することを考えてもよいでしょう。長期保有の運用を考えれば、一時的に損失が出たとしても、その後の運用期間で損失を取り戻す可能性・機会があるためです。
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30代
社会人になって10年前後が経過する世代です。経験や能力も上がり、昇進や転職などで労働収入も増えてくる時期です。一方で、結婚や出産、住宅購入などのライフイベントが多く、大きな額のお金が動く時期でもあります。
収入が増え貯蓄や投資に充てられる額も増えていれば、iDeCoやNISAといった積立投資に加え、短期的な目標を立て株式や投資信託などへの投資もおすすめです。
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40代
若い頃に比べ、昇進や転職などで労働収入は増えているけれど、子育てなどで支出も増える時期です。また、老後までの時間も20年前後と比較的短くなり、老後を見据えてリスクを取りすぎず着実に増やす、減らさない投資を心がける時期でもあります。引き続きiDeCoを活用して60歳まで積立、運用をしていくことが大切です。
老後収入安定のため不動産投資を始める人もいる世代です。不動産収入は入居者が居れば毎月安定的に収入が入り、インフレにも対応する投資で魅力的です。ただ、不動産の管理など手間暇がかかること、空室リスク、災害リスクなどもあります。不動産投資は投資額が大きいこともありそのあたりの注意は必要です。不動産投資のような利回りを狙いたいのであれば、REIT(上場不動産投資信託)という選択肢もあります。
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50代
老後に向けて本格的に資産づくりを考える年代です。子どもの成長により教育費の支払いがなくなり支出が減る人もいるでしょう。
一方で早期退職に直面する人もいる世代です。まずは60歳以降の生活に向けてリスクの大きい投資よりも安全に資産が増やせる方法を考えることが大切です。60代までの約10年間、毎月一定金額の投資積立をするだけでも、十分な長期投資効果は期待できます。
また、iDeCoを通じて投資してきた資産をこの先どう運用するかを見直す時期です。そのまま同じ資産で運用を続けるのか、または、売却して定期預金など安全資産に移管するのか。売却するならどのタイミングでするかなど先の見通しを考え始める時期です。利益が出ているのであれば、資産をリスクの小さい国内債券等に移すのも選択肢です。
60代以上~
定年退職を迎え、労働収入が減る時期です。60代までに十分な資産形成ができず、初めて資産形成について考える人もいるかもしれません。年金が受け取れる年齢になったとしても、ゆとりある生活・安心できる生活を送るためには、現状の資産を把握しておくことが必要です。
令和元年簡易生命表によると男性の平均寿命は81歳、女性の平均寿命は87歳と平均寿命は年々延びています。60代はまだ比較的元気な世代なので、働けるうちは何かしらの仕事をして収入を得ることが大切です。また、まだまだ長い老後の生活を支えるために、投信積立や債券で運用をしてくことも一つの方法です。ただし、基本的には退職後は貯めた資産(年金含む)を取り崩すことで生活していく段階です。リスクの取りすぎには注意しましょう。
まとめ
資産形成はライフプランに沿って長期で行っていくことが基本です。資産形成を行い、将来に備えましょう。
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