QUICK企業価値研究所アナリスト 小西慶祐(2021/10/29)
・今期は過去最高更新となる3割近い営業増益を予想
会社側は上期決算発表時(10月26日)に、22/3期通期の連結営業利益計画を1800億円→1900億円(前期比19%増)へ上方修正。家電・商業・産業用が好調だった上期実績の期初計画上振れ分を反映した。今期にも過去最高益を更新する見通し。企業価値研究所では、もともと強めだった営業利益予想を1900億円→2050億円(同28%増)へ増額。特に半導体検査装置や減速機などの販売が好調な機器装置の見通しを引き上げた。会社修正計画は、新型コロナウイルスの影響や半導体不足などといったリスク要因を保守的に織り込んでいるとの見方を変えない。来期以降も、営業利益の拡大が続く見通し。
・BEV用トラクションユニットの受注は順調に拡大
成長性の観点では、引き続き車載のBEV(電気自動車)用トラクションユニットに注目している。同社はBEVの普及に際して26/3期が分水嶺になると想定、先行して量産体制を構築してコスト競争力を高め、待ち受ける戦略を取っている。足元の受注状況としては、上期決算発表時に、26/3期の年間販売台数予測を280万台→350万台へ引き上げるなど順調に積み上がっている模様であり、当研究所では前向きに評価している。
・リスクファクター ~創業者に依存する経営体制
・アナリストの投資判断 ~緩やかに持ち直す展開を引き続き予想
直近の株価に基づく翌23/3期の予想PERは、37倍。同社の過去60カ月(一過性費用を計上した20/3期を除く)は、おおむね21~67倍と広いレンジで推移している。BEV用トラクションユニットの受注拡大や、M&Aの実施による成長期待は大きい。今後の株価は、緩やかに持ち直す展開を引き続き予想する。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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