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「NYダウ(ダウ平均)」ダウ工業株30種を解説 日本株への影響は?構成銘柄や時系列チャートも紹介

(初回公開日2021年12月17日15:13)

【QUICK Money World 辰巳 華世】米国の株式市場に対する個人投資家の注目は高まるばかりです。米国株式市場を代表する株価指数の一つに、ダウ工業株30種平均があります。今回は、ダウ工業株30種平均とは何か、ダウ平均の歴史、ダウ平均に含まれる30社、ダウ平均は日経平均株価に影響するか、投資戦略「ダウの犬」、ダウ平均のこれからの値動きについて紹介します。

ダウ工業株30種平均とは

ダウ工業株30種平均とは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが算出したアメリカの代表的な株価指数の一つです。米国株のニュースでは「NYダウ」「ダウ平均(株価)」などと表現されています。単位通貨は米ドルです。ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している銘柄から選抜された30銘柄で構成され、株価を単純に株数で割った単純平均型の株価指数です。ただ、株式分割などでも指数の連続性が保たれるよう除数を調整して算出しています。

ダウ平均は、銘柄の見直しをしながら成長が続く優良な30銘柄が選ばれています。ダウ平均に採用される企業は収益力や成長力で優れていることからブルーチップ(優良株)と呼ばれています。ダウ平均は、採用されている銘柄数が30と少ないことや「株価平均型」で算出されることから個別の銘柄の価格変動の影響を受けやすい特徴があります。

実は、ダウ平均と呼ばれる指数には、ダウ工業株30種平均のほか、「ダウ輸送株20種平均」「ダウ公共株15種平均」、この3つをまとめた「ダウ総合65種平均」の4種類があります。ダウ「工業」株30種平均の「工業」の対象は広く公共事業や鉄道以外の企業は全て対象となります。一方、公共事業関連の銘柄は「公共株」、鉄道関連の銘柄については「輸送株」として平均株価が算出されます。

メディアで指標として取り上げられる「ダウ工業株30種平均」が最も有名であるため、「NYダウ」「ダウ平均」といえば、通常はダウ工業株30種平均のことを指します。

 

ダウ平均の歴史

ダウ平均は100年以上の歴史がある株価指数です。1896年にチャールズ・ダウが開発しました。当初は12銘柄で開始しましたが、株式市場全体の動きを追うために徐々に対象銘柄が増えて1928年には現在の30銘柄で構成されるようになりました。この30銘柄は、時代に合わせて見直しが行われており、適宜、銘柄の入れ替えが発生します。

100年以上の歴史を持つダウ平均は、時代の流れの中で世界恐慌、2008年のリーマン・ショック、2020年の新型コロナ・ショックなどによる下落局面もありました。しかし、基本的に米国の経済成長は続いていおり、ダウ平均株価の上昇も続いています。コロナ禍でもワクチン接種の広がりなどから経済活動が再開し始めると米株式市場でダウ平均株価が過去最高値を更新し、一時、3万6000ドル台に上昇する場面もありました。ただ、2022年に入ると、コロナに加え、ロシアのウクライナ侵攻による資源高などの影響から世界的なインフレが進みました。米国では米連邦準備理事会(FRB)が、インフレ抑制のため利上げペースを加速したこともあり、米株式市場は調整局面に入っています。

▼2002年以降のダウ平均(赤線)と日経平均株価(青線)

2002年以降のダウ平均と日経平均

日本を代表する株価指数の一つである日経平均株価ですが、実は1975年から1985年までは、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの前身であるダウ・ジョーンズ社と契約し、「日経ダウ平均株価」の名称で発表していました。その後、1985年5月に現在の日経平均株価という名称に改められました。

ダウ平均に含まれる30社

ダウ平均株価には、ニューヨーク証券取引所やNASDAQに上場している銘柄から30銘柄が選ばれています。金融大手ゴールドマン・サックス、アップル、マイクロソフト、カード決済大手のビザやアメリカン・エキスプレス(アメックス)などが採用されています。一方、グーグル(アルファベット)やアマゾン、フェイスブック、テスラなどは採用されていません。

▼時価総額ランキング(百万USD)

順位 銘柄名 コード 時価総額 事業内容
1 アップル AAPL 2,999,148.90 PC、携帯端末等
2 マイクロソフト MSFT 2,507,395.26 OS、クラウド、PC等
3 ユナイテッド・ヘルス UNH 429,745.77 医療サービス
4 JPモルガン・チェース JPM 421,803.14 金融
5 ジョンソン・エンド・ジョンソン JNJ 413,848.41 ヘルスケア製品
6 ウォルマート WMT 413,323.27 ディスカウントストア
7 ビザA V 382,628.92 決済
8 P&G PG 350,717.02 家庭用消費財
9 ホーム・デポ HD 304,437.96 ホームセンター
10 シェブロン CVX 292,191.91 石油メジャー
11 メルク MRK 276,580.52 医薬品
12 コカ・コーラ KO 258,436.78 清涼飲料水
13 マクドナルド MCD 213,260.43 ファストフード
14 シスコシステムズ CSCO 207,787.21 ネットワーク機器
15 セールスフォース CRM 204,140.66 法人向け顧客管理ソフト
16 ディズニー DIS 161,972.31 エンターテインメント
17 ベライゾン VZ 150,923.30 米通信
18 ハネウェル HON 135,305.46 産業用機器、機械
19 インテル INTC 132,846.35 半導体
20 ナイキB NKE 128,704.29 スポーツ用品
21 ボーイング BA 127,597.98 航空機、防衛、宇宙
22 キャタピラー CAT 126,354.90 建設機械
23 アメリカン・エキスプレス AXP 126,202.27 決済
24 IBM IBM 119,934.64 ITサービス
25 アムジェン AMGN 116,830.51 バイオ医薬品
26 ゴールドマン・サックス GS 104,777.67 金融
27 3M MMM 53,672.19 素材化学、事務用品
28 トラベラーズ TRV 39,647.13 保険
29 ダウ DOW 37,558.42 素材化学
30 ウォルグリーンズ WBA 25,120.91 ドラッグストア

30銘柄は必要に応じて見直しが行われており、2020年8月には3銘柄の入れ替えがありました。顧客情報管理(CRM)のセールスフォース・ドットコム、バイオ製薬のアムジェン、機械のハネウェル・インターナショナルが新たに採用された一方で、石油のエクソンモービル、製薬のファイザー、航空機部品・防衛のレイセオン・テクノロジーズを除外しました。

ダウ平均は日経平均株価に影響する?

ダウ平均の値動きは、日経平均株価にも影響します。米国は世界最大の経済大国であるため、日本のマーケットは前日の米国相場の流れを引き継ぐことが多いです。ダウ平均やS&P500種平均株価はその米国の経済状況を映し出す株価指数であるため、多くの投資家は、ダウ平均、S&P500種平均株価など米国相場全体の動きを確認したうえで日本の株式を売買しています。また、ダウ平均採用銘柄は、厳選されたグローバル企業30社なので、株価の変動は世界経済の変動を予想しているといえます。

また、ダウ平均は日本市場の取引時間にも目が離せません。米シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)では、ダウ工業株30種平均の先物「Eミニ・ダウ工業株30種平均先物」が上場しており、日本の日中も時間外取引で売買されており、値動きがあります。米ダウ先物が動くことで、日本の株式市場に影響を与えることもあります。

 

投資戦略「ダウの犬」とは?

有名な投資戦略の一つに「ダウの犬」があります。とても簡単な投資戦略で、ダウ平均を構成する30銘柄の中から配当利回りが高い10銘柄に、同じ金額を年末(年初)に投資し、翌年の年末(同年末)に売却することを繰り返す投資方法です。

配当利回りとは、購入した株価に対して一年間でどれだけの配当を受け取ることができるかを示したものです。一般的に業績が良い企業は1年に1回、もしくは年2回、株主に対して配当を出します。

配当利回り(%)=1株当たりの年間配当金額÷1株購入価格×100

で算出します。

配当利回りは、分母が株価なので株価が下がると相対的に利回りが高くなります。配当利回りが高い銘柄は、直近1年で株価が下落した、または上昇率が低い(人気が低くて割安な)銘柄と考えられるため、翌年に株価が反発して上昇する可能性が見込まれる、という投資戦略です。

NYダウに投資する方法

NYダウに投資するには、上記で説明した様に、NYダウの構成銘柄である30銘柄を一つずつ全て買うことで投資ができます。ただ、それだと、30銘柄購入する手間暇や手数料などがかかり大変です。

NYダウに投資をするには、NYダウに連動した投資信託や上場投資信託(ETF)を活用することがおすすめです。イデコ(iDeCo、個人型確定拠出年金)や少額非課税投資(NISA)などを活用して投資すれば、非課税で運用することができます。

ダウ平均のこれからの値動き

コロナの影響に加え、ロシアのウクライナ侵攻による資源高の影響で世界的なインフレが進んでいます。米国でも高インフレが進んでおり、FRBはインフレ抑制のため利上げを継続しています。インフレはピークアウトしたとの見方もありますが、それでも高水準のインフレ状態が続いています。今後の米国相場は、米国のインフレ動向やFRBの政策に左右されると予想されます。

足元では、米地域銀行の破綻が続き、中小銀行の経営懸念が高まっています。加えてスイス金融大手クレディ・スイス・グループの危機も重なり金融不安が広がっています。金融機関が流動性確保のために貸し出しに慎重になり、米景気に影響が出るのではないかと警戒されています。また、22年3月以来継続する利上げの影響が米経済全体に広がり景気が悪化するとの見方もあります。そのため、しばらく米国相場は軟調な展開が想定され、NYダウも安値圏で推移する可能性があります。

米国の政策金利や物価の動きを測る物差しである消費者物価指数(CPI)は毎月発表されます。米国相場に大きな影響を与えるものなので、今後も引き続き注視していく必要があります。

まとめ

「ダウ工業株30種平均」はアメリカの代表的な株価指数の一つです。アメリカを代表する優良企業30社が採用されています。ダウ平均を始めとする米国の株価指数を確認し、相場の流れをつかみましょう。

 

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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