政府が決めた新たな経済対策について、債券市場参加者に財政規律の懸念がくすぶっている。QUICKが29日に発表した11月のQUICK月次調査<債券>で、財政支出ベースで55.7兆円という今回の対策の規模についての評価を聞いたところ、財政規律面で「大きすぎる」との回答が全体の65%に上った。「適切」が26%、「小さい」が9%だった。景気刺激面でみた評価は「十分」が41%、「適切」が32%、「不足」が27%と見方が割れた。
もっとも、財政拡大がすぐに国内金利の上昇に結び付くとの見方は多くない。財政拡大が今後2〜3年で国債利回りに与える影響について質問すると、10年物国債利回りでは62%が「変わらない」と答えた。一方、20年物国債については「上昇」が54%、「変わらない」が45%だった。
経済対策の取り組みについての景気刺激効果を聞いたところ「GoTo事業再開」で68%、「事業者向けの支援金」で46%の回答者が「効果あり」と回答した。一方、「18歳以下向けの給付金」は52%が「効果なし」とみている。
新発10年物国債利回りの予想水準の平均は1カ月後(12月末時点)が0.081%、6カ月後(22年5月末時点)が0.098%で、3カ月ぶりに下方にシフトした。20年債や5年債など他の年限の利回り予想も総じて低下した。
注目している債券種別(複数回答可)を聞いたところ、「普通社債」と回答した割合が前回調査から10ポイント上昇して69%と、最も高かった。格付けでみた場合の注目セクターとしては「シングルA」との回答が61%で最も多く、「トリプルB」が24%で続いた。
最も注目している債券価格の変動要因としては、「短期金利/金融政策」との回答の比率が前回調査から上昇した。「海外金利」への注目度は引き続き最も高かったが、回答比率は前回から10ポイント低下した。
調査は11月22〜25日に実施。債券市場関係者119人が回答した。