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住友化学(4005) 情報電子化学、健康・農業関連事業の両部門が想定以上に拡大

QUICK企業価値研究所アナリスト 伊藤健悟(2022/02/07)

・今期の業績予想を増額。来期以降は減益を見込む
 22/3期の連結業績について企業価値研究所では、従来予想を売上収益2兆7700億円→2兆8000億円(前期比22%増)、コア営業利益2500億円→2580億円(同75%増)へ引き上げる。今期は従来、前期後半からの需要回復傾向が続くとともに、石油化学製品などの採算も改善し、連結全体で大幅な増益になるとみていた。見方に大きな変更はないが、足元の原料市況などを勘案して石油化学部門などの利益見通しを小幅減額する一方、想定以上に好調な情報電子化学、健康・農業関連事業の両部門の予想を引き上げ、連結全体で上方修正した。続く23/3期以降は健康・農業関連事業部門の拡大が続くが、石油化学製品の採算悪化や医薬品部門での特許切れで小幅減益基調となる見込み。

・出荷回復と市況上昇で3Qまで好調に推移
 22/3期3Q累計の連結コア営業利益は、前年同期比94%増の2057億円。主要製品の出荷回復と石油化学製品の市況上昇・採算改善で総じて好調に推移した。

・リスクファクター ~自動車減産の長期化など

・アナリストの投資判断 ~割高感はないが、上値の重い展開が続く
 同社の株価は20年秋から21年6月にかけて大きく上昇し、その後は500円台半ばを中心としたレンジで推移。直近では当研究所の来期予想連結PERで約7倍と、総合化学メーカーの平均である同8倍を下回る。このため割高感はないが、今期は他の各社同様、主要製品の数量増と石油化学製品の市況上昇・採算改善で大幅な増益が見込まれるのに対し、来期以降は石油化学製品の採算が再度悪化に向かうとともに、医薬品部門の主力製品の特許切れも影響して減益が続く公算が大きい。このため当面は、同平均を下回る現状程度の評価にとどまり、株価は上値の重い展開が続くと考える。

 

(提供:QUICK企業価値研究所)
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著者名

伊藤 健悟

シニアアナリスト

化学・繊維セクター担当


【プロフィール】
大阪大学経済学部卒業。山一證券入社、メリルリンチ日本証券を経て、現在に至る。
山一證券在籍時は個人向け営業に従事。マクロ、ミクロの両面からの事業環境・経営状況の分析に加え、その際に培った個人投資家の視点も重視しつつ、レポートの作成や講演などを行うことを心がける。


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