【日経QUICKニュース(NQN)】11日の東京株式市場で、東電HD(9501)株が急伸した。前週末比62円(16.2%)高の444円で終えた。一時は66円(17.3%)高の448円と、2020年2月以来2年2カ月ぶりの高値をつけた。岸田文雄首相が8日にウクライナに侵攻したロシアへの新たな経済制裁を表明した記者会見で、再生可能エネルギーや原子力発電などを最大限活用すると述べ、再稼働に向けた思惑から買いが集まった。
東電HDの終値ベースの値上がり率は東証プライム市場で首位。売買高も1億2565万株と、2位の三菱UFJ(8306)の4215万株を引き離してトップとなった。売買高は21年9月9日以来、7カ月ぶりの高水準となった。このときは自民党総裁選で、複数の立候補予定者が原発再稼働に前向きな姿勢を示したことから、東電HD株が10%超上昇していた。
東電HD株は16年12月にも商いを伴って大幅に上昇する場面があった。当時は経営再建計画を巡る報道や政府による融資枠の拡大などが材料となっていた。原発再稼働の思惑が高まると、東電HD株は動意付きやすい。
11日午前の記者会見で、松野博一官房長官は「原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合に地元の理解を得ながら進める」と再稼働に関する従来の政府方針を繰り返しており、東電HD株が持続的に上昇するかどうかは不透明だ。