外国為替市場で円安・ドル高が進んでいる。14日には一時、1ドル=139円台まで下落し、24年ぶりの安値を付けた。QUICKと日経ヴェリタスが共同で実施した7月の月次調査<外為>で、年後半に円安がどこまで進むかを聞いたところ「1ドル=137~139円」が30%と最多だった。次いで多いのが「139~141円」の23%だ。円相場の値動きを聞いた質問では「円安に歯止めがかかり横ばい」との回答が39%となっており、市場参加者は1ドル=140円程度が安値のメドとみているようだ。
米労働省が13日に発表した6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で9.1%の伸びになった。およそ40年半ぶりの高い伸びだ。米連邦準備理事会(FRB)は7月の連邦公開市場委員会(FOMC)で0.75%の追加利上げをすると見られていたが、インフレが加速している実態が明らかになり、1%の大幅利上げに踏み切るとの見方も台頭している。
これに対して日銀は動けない。年後半の日銀の金融政策について聞いたところ「現状維持」との見方が72%を占めた。「長期金利の変動幅の拡大」との回答が11%、「利上げ」が9%あったものの、米国に比べ物価上昇率が低い日本では、現状の大規模緩和政策を維持するとの予測がなお多い。
日本と米国の金利差が拡大すれば、円安・ドル高が加速するのが自然だ。1ドル=140円前後で歯止めがかかるとの見方について、マーケット・リスク・アドバイザリーの深谷幸司氏は「米国の景気悪化とインフレのピークアウトが見えてくればFRBの利上げペースが減速し、ドル高が一服する」と解説する。
利上げを進めればインフレ抑制と同時に景気を冷やす副作用がある。調査の回答者からも「米景気の減速と中間選挙で、秋以降はドル高の勢いが鈍化する」、「米国の景気後退で利上げが止まれば、円・ドル相場が反転する可能性もある」といった見方が寄せられた。
10日投開票の参院選では自民党が圧勝した。選挙後に注目する経済政策を聞いたところ、賃上げや物価対策などを抑えて「エネルギー政策(原子力発電所の再稼働など)」が32%で最多だった。「原発を再稼働すべきか」の問いでは「はい」が78%と「いいえ」の22%を大きく上回った。ただ「原発の再稼働を進めるべきだが可能性はゼロに近い」との見方もあった。
調査は7月11~13日に実施し、金融機関や事業会社の外為市場関係者77人が回答した。調査期間中に1ドル=136円台前半から137円台後半まで円安が進んだ。