QUICK企業価値研究所アナリスト 永田和子(2022/07/15)
・百貨店の売上回復進むが、同業他社と比べ依然劣勢
大丸松坂屋百貨店の日本人向け売上高は富裕層の旺盛な購買意欲に支えられ回復基調で、企業価値研究所予想を引き上げた。ターミナル型の梅田、東京が足枷となり、同業他社と比べ依然劣勢だが、富裕層の需要取り込みを狙う大型改装が本格化。その効果に期待している。ただし、コロナ前から続く中間層の百貨店離れに歯止めがかからないとみるため、日本人向け売上高は来期、25/2期ともに20/2期比▲1%を予想。緩やかな回復を見込む免税売上高も25/2期で同▲36%水準にとどまる見込み。
・事業利益予想は概ね前回通り、ハイブリッド化に注目
連結事業利益の当研究所予想は業績表の通り。百貨店の売上高予想を増額する一方、粗利益率予想を引き下げたため、概ね前回予想通り。百貨店、パルコの売上回復、コスト構造改革などから25/2期にかけて連結事業利益の回復が進むものの、積極投資に係るコスト増もあり25/2期でも20/2期の85%にとどまる見込み。コロナ前への「完全復活」を目指す中計目標(来期440億円)との乖離は大きい。当研究所は一部定借化による魅力ある売場作りと富裕層向け売場強化というハイブリッド化(来期名古屋で着手予定)によるビジネスモデル変革に注目。中長期ではデベロッパー戦略も成長ドライバーに。
・リスクファクター ~コロナ影響の長期化など
・アナリストの投資判断 ~売上回復の劣勢や利益回復ペースの鈍さが株価の重石に
経済活動正常化の恩恵を受ける銘柄としての期待が大きい半面、同業他社と比べた売上回復の劣勢やコスト先行による利益回復ペースの鈍さが株価の重石に。改装効果により同業他社との格差が縮まるかを注視するとともに、構造改革によるコスト抑制、「完全復活」に向けた事業戦略の提示(7月21日に説明会予定)にも注目したい。
(提供:QUICK企業価値研究所)
本サイトに掲載の記事・レポートは、QUICK企業価値研究所が提供するアナリストレポートサービスの抜粋記事です。
レポートサービスは証券会社・金融機関様に対し個人投資家向け販売資料としてご提供させて頂いております。
サービスに関するご質問、資料のご請求等は以下フォームよりお問い合わせください。
※ 個人投資家の方は掲載記事(レポート)の詳細を「QUICKリサーチネット」からもご覧頂けます。
サービスの詳細・ご利用方法はこちらをご覧ください。
※ なお、本サイト掲載記事の内容に関する個別のご質問にはお答えできかねます。ご了承ください。