7月9日(土)にシンワオークションのMANGA、近代美術、近代美術PartⅡ、コンテンポラリーアートのセールが、銀座メディカルビルにて開催された。落札総額は、5億8655万5000円(手数料含まず・以下同)、落札率は81.04%となっている。ジャンルそれぞれの点数内訳は、マンガ作品92点、近代美術127点、近代美術PartⅡ187点、コンテンポラリーアート74点で、合計480点もの美術品が出品された。絵画、彫刻だけでなく、陶芸、小判、碁盤・碁石セットなどバラエティに富んだ内容で、多くのコレクターを楽しませるセールとなった。
予想価格の5.75倍で落札
全作品の中でトップロットを記録したのは、近代美術より出品されていた佐藤玄々のLOT.410《大慈大悲救世観世音菩薩》(H83.3×W26.2×D26.2cm、木彫・彩色)。高い技術力による緻密な彫刻と装飾性に富んだ色彩で仕上げられた菩薩像は、落札予想価格1000~2000万円に対して1億1500万円で落札された。落札価格上限の5.75倍の大きな伸びで、会場を沸かせた。佐藤は、日本橋三越本店1F中央ホールに展示されている《天女像 まごころ》や竹橋駅2番出口そばにあるブロンズ《和気清麻呂像》などの作者として知られている。日本を代表する彫刻家の希少な優品に注目が集まった。
コンテンポラリーアートでは、27名の作家による作品が74点出品された。他のジャンルよりも、出品数は少なかったものの、落札総額は1億3499万円を記録している。落札率は80.08%だった。コンテンポラリーアート内で、トップロットとなったのは、草間彌生のLOT.485《蝶》(14.1×17.8㎝、キャンバス・アクリル)で、落札予想価格2000~3000万円のところ、2800万円で落札された。小さい作品にも関わらず、最終ロットにふさわしい好結果を残した。次いで、アンディ・ウォーホルの作品(LOT.479~482)が、4点が続く。1983年当時、世界で絶滅危惧種とされていた10の動物をモチーフにしたシルクスクリーン作品(96.5×96.5㎝、Ed.150)の中から、カエル、蝶、オラウータン、白頭ワシの出品があった。いずれも落札予想価格300~500万円のところ、落札予想価格上限に対し、3~5倍程度の1600~2700万円で落札され、4点の落札総額は8500万円となっている。ウォーホルの作品は、上昇傾向を見せており、好調が続いている。
出品当初は過度な跳ね上がり
今回は、小松美羽(こまつ・みわ、1984-)をクローズアップし、レポートする。小松は、迫力ある構図やサイケデリックな色合いで、目力の強い狛犬や龍などの神獣を独創的に描く作風で知られ、国内外で高い評価を得ている若手現代作家。自身の個展会場などで行うライブペインティングが人気が高く、躍動感あふれるパフォーマンスではたくさんの観客を魅了している。“美しすぎるアーティスト”としてテレビなどメディアへの出演も多く、知名度も高い作家のひとりである。
本セールでは、お馴染みの十二支の各モチーフに、小松独自の解釈による「猫」のモチーフを加えた13点の《干支神獣》シリーズより、2点の出品があった。LOT.452《干支神獣 子》、LOT.453《干支神獣 酉》(各イメージ52.9×53.0㎝、シルクスクリーン、ed.50 )は、落札予想価格50~80万円のところ、落札予想価格内の74万円で落札されている。同一シリーズの落札データを抽出したACF指標により、その動向を読み解く。初出品の2020年では、落札予想価格平均が約20~30万円に対し、200万円程度で落札されており、驚異的な落札結果となった。その結果を受け2021年には、落札予想価格平均は若干上昇するが、落札価格平均は100万円程度まで下降する。2022年7月10日までのデータでは、落札予想価格平均は横ばい、落札価格平均は90万程度となる。出品当初の過度な跳ね上がりにより、右肩下がりのグラフになっているが、常に落札予想価格上限を上回る落札価格で推移してきた。また、15日(金)に開催されたSBIアートオークションでは、《干支神獣》13点のコンプリート版が出品され、落札予想価格500~800万円のところ、1200万円で落札された。コンプリートの希少性もある為、比較は難しいが、単純に点数で換算すると1点あたり92万円程度となり、今回の落札額より高値での落札となっている。2022年、最終的に落札予想価格上限付近での堅調推移となるか、これからの展開が期待される。
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※Shinwa Auctionの次回開催予定は9月17日
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